1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041122
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
渡辺 貞司 岐阜大学, 工学部, 教授 (20021595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 道洪 岐阜大学, 工学部, 助手 (20273120)
高木 伸之 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80179415)
中村 光一 名古屋工業大学, 助教授 (10024283)
仲野 實 豊田工業高等専門学校, 教授 (50023685)
河崎 善一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (60126852)
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Keywords | 雷 / 放電 / 雷雲 / 正極性落雷 |
Research Abstract |
地形が平坦で観測に適した中国内陸高原部で雷の総合観測を行い、マイクロ秒オーダーで同期した5地点電界データ、雷ビデオ映像および雷雲のレーダーエコーを多数収集した。これらのデータを解析することにより、次のような知見を得た。 1、中国内陸高原部の夏季雷雲において、全対地雷撃における正極性落雷の発生割合は高く、雷雲ごとにかなり違う。それは、-10度の温度層の高度や雷雲の成熟度に依存しないことが明らかになった。 2、正極性落雷の多重度や帰還雷撃による電界波形の立ち上がり時間などの電気特性を統計したところ、中国内陸高原部に発生する正極性落雷は、これまで報告されている北陸地方における冬季雷と類似の特性を示した。 3、雷雲内の負電荷層は地上高3〜5Km付近に存在し、その地上高は、-10度の温度層に対応する。負極性落雷の各雷撃によって中和される電荷量は通常の夏季の負極性落雷より2倍程度大きい。 4、正極性落雷において、放電開始である雲内での微弱な放電が生じてから、落雷に至るまでの時間が数百ms以上のものが60%近くを占めた。 5、帰還雷撃前後のパルスの発生頻度は、落雷の極性により異なり、負極性の場合は50%以上のパルスが帰還雷撃より前に存在し、正極性の場合は帰還雷撃に存在する。 6、正極性落雷に伴う連続電流の持続時間は、平均38msであり、正極性リーダーの持続時間は、平均51msである。 7、スローフロントの持続時間の平均値は負極性落雷における第一雷撃で11μs、後続雷撃で4μsであり、正極性落雷においてはそれぞれ24μs,14μsであり、いずれも通常の夏季雷のそれと比べ2倍以上であった。 8、雷撃時間間隔と後続雷撃のスローフロント持続時間に相関関係があり、雷撃間隔が長いほど後続雷撃のスローフロント持続時間が長い。 9、後続雷撃においてはスローフロントの持続時間が長いほど電界変化が大きいと言う相関関係が得られたが、第一雷撃においてはそのような相関は認められなかった。
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