Research Abstract |
1.目的:生息環境の特性と生活史進化の相互関係を分析するために,インドネシアとジャワとスマトラに降雨条件や海抜高度の異なる調査地を設定し,(1)昆虫の野外個体群の季節動態をモニタリング,(2)室内飼育と実験的解析による温度適応,休眠形質,光周反応,ストレス抵抗性を比較する. 2.調査地:西ジャワ州のボゴール,チボダス,東ジャワ州プルヴォダディの各植物園と,スマトラ西部州内のパダン,スカラミの各実験圃場での野外調査と室内実験を実施した. 3.野外調査:マダラテントウ類,ジンガサハムシ類,ショウジョウバエ類,コオロギ類などを対象とし,野外における個体群の長期センサスと,長期サンプリングによる齢構成,繁殖状態,栄養状態などの調査をした. 4.飼育実験:ボゴール動物博物館およびスカラミ農業技術研究所において,昆虫類を飼育し,休眠形質,光周反応,ストレス抵抗性(乾燥,低温,飢餓など),発育日数,生存一繁殖スケジュールなどを種間,地域個体群間で比較した. 5.本年度の新展開:(1)ジャワ島,スマトラ島のマダラテントウムシ相と食草についてとりまとめた(2)ニジュウヤホシテントウを熱帯(ボゴール),亜熱帯(沖縄),温帯(広島)から採集し,室内飼育により,休眠および高温,低温に対する耐性を比較した.(3)ニジュウヤホシテントウ,ジンガサハムシの野外における個体群動態を,ボゴール,プルウォダディで調査した結果をとりまとめた.(4)調査対象種の食草であるナス科植物(食葉性テントウムシ類)やヒルガオ科(ジンガサハムシ類)の質的季節変動(水分含量,葉の硬度,C/N比など)のモニタリングを継続中である(5)ボゴール植物園内に局所的に生息するダイフウシホシカメムシの個体群動態,生活史をとりまとめた.
|