1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041146
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山極 壽一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60166600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OVONO Simon ガボン共和国, 森林省, 研究員
湯本 貴和 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (70192804)
黒田 末壽 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
|
Keywords | ゴリラ / チンパンジー / 熱帯雨林 / 共生 / 共進化 / 食性 / 種間関係 |
Research Abstract |
本研究は、アフリカ大陸の熱帯雨林の山地部と低地部(海岸林、内陸林)に同所的に共存しているゴリラとチンパンジーの食性、植生利用、集団編成、種間関係などを調査し、両種が互いの、また他の森林動物との採食競合をいかに解決して共存してきたかを解明することを目的としている。本年度は調査を予定していたコンゴ共和国が内戦状態で治安が著しく悪化したため、ガボン共和国でのみ調査を実施した。なお、前年度に調査を行ったコンゴ民主共和国も治安が回復しないので渡航を差し控えたが、現地のスタッフによる調査を継続している。ガボンのプティ・ロアンゴ保護区ではゴリラとチンパンジーの生態調査と植物のフエノロジーに関する調査を行い、予想通り林床植生が貧弱な条件下に比較的高密度に両種の類人猿が生息することを確認した。ただ、両種ともに広い範囲を季節移動しており、この動きは、森林の果実生産と密接な関係がある。両種と同所的に生息するゾウの動きとも相関がみられ、今後ゾウをも含めた森林との相互作用を追跡していくつもりである。同国のフランスビル国際医学研究所では類人猿や他の霊長類の生体計測を行い、体サイズやロコモーション様式と食性、生息場所との間にはっきりした相関関係を見いだすことができた。コンゴ民主共和国のカフジ地区ではチンパンジーが食べる果実は明確な季節変動を示すのに対し、ゴリラの食べる果実は年間を通して得られることが判明している。現在結果を分析中であるが、両種類人猿と森林の相互作用について新しい知見が数多く得られたと考えている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Basabose, K.& Yamagiwa, J.: "Predation on mammals by chimpanzees in the montareforest of Kahuzi,Zaire" Primates. 38. 45-55 (1997)
-
[Publications] 山極 寿一: "ホミニゼーションと共生" 霊長類研究. 13. 117-120 (1997)
-
[Publications] Yamagiwa, J.: "Mushamuka's story:the longest tennre and the largest group" Gorilla Journal. 15. 7-9 (1997)
-
[Publications] 黒田 末寿: "ホミニゼーション直前の飛躍-チンパンジー属の食物分配に再評価-" 霊長類研究. 13. 149-160 (1997)
-
[Publications] 山極 寿一: "父という余分なもの" 新書館, 269 (1997)
-
[Publications] 山極 寿一: "ゴリラ雑学ノート" ダイヤモンド社, 226 (1998)