1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041167
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
渡辺 孝男 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20004608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曲 江武 山東医科大学, 衛生学部, 助教授
金 淬 中国予防医学科学院, 労働衛生職業病研究所, 教授
池田 正之 (財)京都工場保健会, 学術顧問 (00025579)
新保 慎一郎 京都女子大学, 教授 (60027406)
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Keywords | 微量元素 / 栄養摂取量 / 食物 / 血液 / 尿 / 毛髪 / 飲料水 / 中華人民共和国婦人 |
Research Abstract |
東アジア地域における環境蓄積性および生物学的半減期の長い重金属を主とする微量元素の人体暴露・影響の調査・研究を環境中毒学および公衆栄養学的視点で実施した。 調査地域は中国山東省の2地域,都市部は省都の済南市を農村部は済南市から40km程離れた章丘県白泉村である。対象は健康な成人女性の各々50名。調査項目は食事調査,一日尿調査および身体と血圧測定,血液臨床検査である。 調査器具・器材は全て日本から運搬した。食事調査は陰膳法により対象者の一日の全飲食物を採集した。一日尿は食事調査の当日の全尿を採集した。なお,各家庭別に飲料水および小麦粉,米も採集した。食事検体は山東医科大学栄養学教室のスタッフが食品毎に分別秤量・記録した。食事検体は個人別に全量をミキサ-で混合粉砕後に一部を分取し,一日尿も秤量後に一部を分取し,各々は測定用に凍結保存した。血液・血清生化学的検査は国内の臨床検査機関で実施した。なお,健診データは検査結果と所見を書き添えて対象者に報告した。栄養摂取量の算出は中国食品成分表を用い,パーソナルコンピュタ-により国内で実施した。 微量元素の測定成績から,鉛は摂取量と血中濃度が都市部では25.8ug/dayと35.3ng/ml,農村部が45.8ug/dayと50.2ng/mlであり,いずれも農村部が都市部よりも高値で,地域差が明らかになつた。毛髪中の鉛濃度も農村部が都市部よりも有意に高い。なお,農村部の鉛の摂取量,血中濃度は日本人に比して明らかに高い。カドミウムの摂取量と血中濃度は,都市部が6.43ug/dayと0.48ng/ml,農村部が5.93ug/dayと0.29ng/mlで,いずれも農村部が都市部よりも低値を示した。カドミウムの摂取量と血中濃度レベルはこれまでの東アジア地域での報告値に比してほぼ同レベルかやや低く,日本人の値に比し明らかに低い。 栄養摂取量は,エネルギー,脂質,たんぱく質は所要量に対していずれも充足されている。農村部は植物性食品の依存が大きく,献立内容も都市部よりも単純である。 健康状況は,都市部は身長,体重およびBMI値はいずれも農村部に比し大きく,肥満者の割合も高い。貧血や高脂血者の出現率は都市部と農村部とも10%前後と低く,2地域間に差は認められない。
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