Research Abstract |
ギデラ族(13村落,人口約2,000人)について,ほぼ予定通りの調査を行うことができ,1989年から1997年までの人口動態(出生・死亡)と人口移動を把握することができた。さらに,平成8年度に5村落で採取した尿サンプルのホルモン分析(エストラジオール,プロジェステロン,絨毛性ゴナドトロピン)から判定した妊娠の帰結を確認したところ,全員が生産であり,初期胎児死亡は多くなかった。移動を含めた人口動態のデータについては,現在その整理を進めているところである。また,これまでに詳細な調査が進められてきた3つの村落において,研究代表者の大塚と分担者の河辺,稲岡が2週間の食物摂取調査を行った。1981年,1986年,1989年に行った食物摂取調査の結果との比較分析を進めているところである。平成9年度は,パプアニューギニア全土がエルニーニョの影響で大旱魃に見舞われており,ギデラ族でもその影響を考慮に入れて分析を行う必要がある。いっぽう,旱魃の健康影響に関しては,平成8年度と9年度に同一の成人約200人の体重を測定済みであり,その比較によって評価することが可能である。 アサロ地域(約10集落,人口約2,000人)においては,(1)平成8年度に5集落で登録した「妊娠可能年齢にある」女性の追跡調査による,この1年間で起こった妊娠・出産/流産/死産の聞き取り,(2)これらの集落の人々のタンパク質と食塩摂取状況を評価するために,早朝尿を採集後,濾紙に吸着し,日本に持ち帰り,尿素窒素,ナトリウム等の濃度を測定,(3)子どもの健康行動と栄養状態の関連を明らかにするため,1つの集落ですべての子どもを対象とした2週間の行動観察(摂取食物・健康状態),を行った。
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