1996 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカのヒトとサルからのエイズ関連ウイルスの分離・解析
Project/Area Number |
08041173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
M'PELE Pierr コンゴ, コンゴ国立公衆衛生研究所, 所長
ZEKENG Leopo カメルーン, ヤウンデ大学附属病院, 講師
三浦 智行 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (40202337)
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70183176)
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Keywords | エイズ / 中央アフリカ / HIV / 重感染 / リコンビネーション / ピグミー / チンパンジー |
Research Abstract |
エイズ関連ウイルスについては、これまでにHIV-1及びHIV-2がヒトから、SIVがアフリカの数種のサルから分離され、また、遺伝子解析からそれらの相互関係が明らかにされてきた。現在では、エイズウイルスがアフリカに由来することは、ほぼ定説となっている。従って、エイズウイルスの起源と進化を理解する上で、アフリカにおける調査は不可欠である。本年度は、中央アフリカのカメルーンにおける調査を継続、コンゴにおける調査を開始した。カメルーンにおいてはヤウンデ大学附属病院を中心に、北西部の都市部から、約150検体の血液を採取した。コンゴでは、国立公衆衛生研究所を中心に、北東部、北西部のピグミー、チンパンジーを含めて約350検体の血液を採取した。血清学的にHIV感染が疑われた血液中のリンパ球を用いて、ウイルス分離に務めた。分子系統解析の結果、全てのHIV-1のサブタイプがカメルーンにはみられ、また、HIVにおける重感染が、HIV-2とHIV-1間、HIV-1グループOとHIV-1グループM間、HIV-1グループMの各サブタイプ間を問わず起こり、調査した全検体中10%前後という少なからぬ頻度で起こっていることが示された。さらに、HIV-1グループO、サブタイプAおよびDの3系統のウイルスゲノムを持つ三重感染と、それらの組換えウイルスが得られた。HIVの分子進化については、従来容易に起こりうる変異の積み重ねによるものと考えられていたが、加えて、リコンビネーションがウイルスの生き残り戦略の一つとして果たしてきた役割も考える必要がある。従来のenv遺伝子のV3領域のみでサブタイプを決めることは、組換えによりモザイクウイルスになっている可能性もあることから留意せねばならない。このことは、分子疫学、治療薬、ワクチン開発の戦略を立てる上で重要な基礎情報となるものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takehisa,J.et al.: "Triple HIV-1 infection with group O and group M of olifferenticlades in a single Cameroonian AIDS patient" J.AIDS & HR. 14・1. 81-82 (1997)
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[Publications] Takehisa,J.et al: "Phylogenetic analysis of HIV type 2 in Ghana and intrasubtype recombination in HIV type 2" AIDS Res & HR. 13・7. 621-623 (1997)
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[Publications] 武久 盾、他: "HIVの起源と進化-多様性をもたらす遺伝子の変異と組換え" 総合臨床. 46・3. 329-337 (1997)
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[Publications] Igarashi,T.et al: "Genomic and biological alter ation of a HIV-1/SIV mac chumera,with HIV-1 env recovered from along term carrier monkey" J.G.Virology. 77. 1649-1658 (1996)
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[Publications] Kuwata,T.et al: "Chimeric vuiruses between SIVmac and varione HIV-1 isolatec hane biological properties that are similar to those of the parental HIV-1" AIDS. 10. 1331-1337 (1996)
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[Publications] 速水正憲: "さすらうエイズウイルス生き残り戦略としての「多様性」と「共生」" 創造の世界. 99 夏. 6-26 (1996)