Research Abstract |
平成8年12月24日より30日まで(中根,石川,小路),平成9年1月6日まで(岡田),あるいは平成9年1月8日まで(武田,霧生),ミヤンマー国立医学研究所の生化学部門,病理部門,および国立ヤンゴン総合病院血液疾患部門,肝臓疾患部門,および国立ヤンゴン小児病院血液部門の患者を調査し.対象患者は小児病院血液部門の重症サラセミア患者9名,ヤンゴン総合病院血液疾患部門の患者18名,肝臓疾患部門の患者53名(肝細胞癌12名,肝硬変37名(内2名にβ-サラセミラ),慢性肝炎4名)であった.サラセミア患者について年齢,性別,輸血開始時期,輸血回数,脾臓摘出術の有無,肝脾腫の有無などを記載した.肝疾患患者については臨床所見を聞き取り,すべての患者の採決をおこなった.患者とは別個に肝癌手術例の病理組織標本の提供をうけた. すべての血清は日本に運び,鉄負荷状態の検索として,血清鉄,総鉄結合能,血清フェリチン,自由鉄(Gutteridge法)を定量する.肝機能・肝炎・肝癌の検査として,亜鉛混濁反応(ZnTT),GOT,GPT,α-フェトプロテイン,ウイルス肝炎マーカー検査を行なった.ヘモグロビンは電気泳動により,異常ヘモグロビンの電気泳動も予定. 肝癌組織については,鉄沈着状態,肝癌マーカーの組織学的検索を行い,ブロックよりDNAの抽出し,癌関連遺伝子の検索を行う予定.新たな手術症例があった場合は,凍結保存を行い,鉄関連遺伝子の検索も行う予定にしている. これまで得られた検索結果:肝硬変の患者に2名のサラセミア患者がいたが,いずれも22歳,23歳(共にHBs抗原,HBc抗体が陽性)と若年であった.肝疾患の53名中23名において,血清フェリチン値は正常上限の200ng/dlを越しており,1,000ng/dlを越す者も多い. サラセミア患者26名(1名は疑診)のうち,重症サラセミア23名全員の血清フェリチン値は正常上限の200ng/dlを越しており,6,000ng/dl以上に達する患者もみられる.これらの患者には肝脾腫があり,肝臓は特に硬度を増していた.亜鉛混濁反応は高値を示すものが多く,小児9名の結果では全員17単位以上であった(正常限界は12単位以下).慢性の肝障害を示している.
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