1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大渕 憲一 東北大学, 文学部, 助教授 (70116151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIND E.Allan デューク大学, フクア・ビジネス校, 教授
TYLER Tom R. カリフォルニア大学, バークレー校, 教授
菅原 郁夫 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90162859)
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Keywords | 組織内葛藤 / 公正 / 集団価値 / 組織的態度 / 組織シチズンシップ / 組織コミットメント / 異文化 / 企業 |
Research Abstract |
本年度はふたつの調査研究(1日本人の組織内葛藤、2滞日アメリカ人の組織内葛藤)を企画した。いずれも組織内葛藤経験を質問紙によって調査するもので、TylerとLindが提起した公正の集団価値理論の諸仮説を検討することが目的である。これは、組織内の葛藤経験を通して成員が組織から公正に処遇されていると知覚すると、親組織的態度(組織コミットメントなど)と組織志向的行動(組織シチズンシップ行動)が強められるとする理論で、アメリカ人についてはその妥当性が既に確認されている。研究1は、日本の企業人151名を対象に平成8年9月〜11月に行われた。そのデータを携えて日本側の研究者が12月に渡米し、Tyler、Lindらと合同で分析・検討を行った。その結果、本研究結果は集団価値理論に基本的に合致し、日本の企業人の組織に対する態度や行動も公正経験によって影響されていることが確認された。しかし同時に、この研究は、組織的態度と行動が公正経験だけでなく組織内の人間関係によっても強く規定されていることを見いだし、そこに日本の組織の特徴がうかがわれた。研究2は滞日アメリカ人(JETプログラム参加者)を対象にしたもので、調査は平成9年1月より開始し、現在継続中である。この研究の仮説は、文化的背景の異なる成員を抱えた組織においては対人関係による凝集性効果が小さいので、葛藤解決における公正の役割が一層重要になるというもので、異文化状況において集団価値理論を検討することが目的である。
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