1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大渕 憲一 東北大学, 文学部, 教授 (70116151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIND E.Allan デューク大学, フクアビジネス校, 教授
TYLER Tom R. カリフォルニア大学, バークレー校, 教授
菅原 郁夫 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90162859)
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Keywords | 組織内葛藤 / 公正 / 集団価値 / 組織内態度 / 異文化 / 日米関係 / JET |
Research Abstract |
本年度は3種類の異文化間組織内葛藤の調査を実施した。(1)JETプログラムで来日し、福島県、宮城県、栃木県の中学校に勤務する外国人教師(ALT)272名を対象に、平成9年2月から8月にかけて組織内葛藤を質問紙調査した。これはJET参加者の組織(AJET)を通して郵送法で行った。(2)アメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコ市にある日本人渡米者の会「のびる会」の日本人来談者を対象に、平成9年9月よりアメリカ人上司との組織内葛藤を質問紙調査し、現在継続中である。(3)アメリカ、ノースキャロライナ州ダ-ハム市にあるデューク大学フクアビジネス校に在籍する企業勤務経験のある東洋人大学院生を対象に、平成9年11月より、アメリカ人上司との組織内葛藤を質問紙調査し、現在継続中である。 日本におけるALTの葛藤調査では105名より回答を得た。彼らはすべて英語圏(アメリカ、カナダ、オーストラリアなど)の出身である。職場での日本人上司との葛藤経験を想起させ、葛藤解決の過程と結果、それに日本に対する態度などを評定させた。葛藤解決過程に対する彼らの公正評価は、上司の処理の仕方に依存し、上司が葛藤解決の過程で、信頼でき、偏りがなく、また、自分を尊重してくれると知覚すると、公正感が高まった。しかし、この結果については、回答者自身の日本に対する親和的態度が鍵となった。日本に対して親和的な態度を持つALTの場合には、上司の処置が不公平感を規定したが、そうした態度を持たないALTの場合には、彼らの公正感は上司の処置によって影響されなかった。 手続き的公正感に対する人間関係要因の効果はTylerたちの集団価値理論において仮定されたもので、これが異文化間葛藤でも確認されたが、しかし、当事者が所属する組織や文化に対して親和的な場合のみ生ずるという限界も明らかにされた。これは、異文化間葛藤解決を困難をもたらす一因とみなされる。
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