1996 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的世界観が科学教育に及ぼす影響に関する国際比較研究
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08044003
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小川 正賢 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80143139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JEGEDE Olugb 南クィーンズランド大学, 遠隔教育センター, 準教授
AIKENHEAD Gl サスカチェワン大学, 教育学部, 教授
HAIDAR Abdul アラブ首長国連邦大学, 教育学部, 準教授
TOBIN Kennet フロリダ州立大学, 教育学部, 教授
COBERN Willi 西ミシガン大学, 教育学部, 準教授
OGUNNIYI Mes 西ケープ大学, 科学数学教育学部, 教授
大辻 永 茨城大学, 教育学部, 講師 (20272099)
川崎 謙 高地大学, 教育学部, 教授 (00116451)
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Keywords | 伝統的世界観 / 科学的世界観 / 科学教育 / 異文化 / 多文化社会 / 土着科学 / 西洋科学 |
Research Abstract |
近未来の科学教育の理念を考える場合、科学者共同体の構築した「科学的世界観」と一般の人々がその生活世界において保持する「伝統的世界観」との関係はどうあるべきかという問題が、人々のアイデンティティ保持の問題と絡んで重要になる。本研究は、科学を本来的に異文化として受容してきた日本、アフリカ、中近東、各地の先住民の人々に対する科学教育の中で、伝統的世界観と科学的世界観の対立がどのような形で出現し、またそれにどう対処してきたかを比較検討し、研究者間で相互理解を深め、その過程を通じて、来るべき多文化共存社会にふさわしい新しい科学教育を構築するための基本枠組について討議してきた。 研究者間での共同討議はまず、インターネット上ノリストサーブ「TRACOS-L」を用いて3ヶ月間実施された。ここでは、まず、traditional,indigenous,aboriginal,non-westernといった用語問題が議論され、さらに本研究の基本問題として、「科学の定義問題」「土着科学と西洋科学の関係」「自然哲学と科学的世界観の関係」「伝統的コスモロジーと合理性」「構造主義言語学とネガティビティ」などが議論された。また、科学の教授学習過程に関しては、「併存的学習」「文化的境界横断」「共同参加」「象徴的暴力」「文化適応」といった概念が論議された。次いで、茨城大学において1週間にわたって全員参加の共同合宿集会を実施し、それぞれの問題点についてつっこんだ議論を行い、暫定的結論を「水戸文書」としてとりまとめた。それは、全員のディスカション論文、TRACOS-Lの議論のログファイルとともに資料集に編纂され、本研究領域での世界初の研究資料として、興味を示している世界各地の研究者に送付された。本研究の議論を土台にして、今後、この領域の研究が世界的規模で拡大していくことが期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masakata Ogawa: "Toward an Epic Description of Science Education : Cultural History of Scinec Education in Japan" William Cobern (ed.) Socio-Cultural Perspectives on Science Education : An International Dialogue. Kluwer Academic,Dordrecht,The Nelherlands. 1Vol.(未定). (1997)
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[Publications] William Cobern: "Socio-Cultural Perspectives on Science Education : An International Dialogue" Kluwer Academic,Dordrecht,The Netherlands (未定), (1997)