1996 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法による強相関電子系における金属-絶縁体転移と高温超伝導に関する研究
Project/Area Number |
08044045
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70029560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ピスクノフ Y. ロシア, ロシア科学アカデミーウラル研究所, 研究員
ヤクボフスキー A. ロシア, クルチャトフ研究所, 主任研究員
ミハエル マリ スイス, チューリッヒ大学, 講師
ジョセフ ロス スイス, チューリッヒ大学, 講師
ブリンクマン D. スイス, チューリッヒ大学, 教授
古川 祐次 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50280863)
松田 祐司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50199816)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 酸化物 / 高温超伝導 / 強相関電子系 / 金属-絶縁体転移 / 硼素炭素化合物 / スピネル化合物 |
Research Abstract |
本研究は、電荷移動型酸化物高温超伝導体で各原子サイトの電子状態の知見を得て、特異な電子状態のもとでのスピンの揺らぎの効果と金属-絶縁体転移(MI転移)近傍に現れる高温超伝導の発現機構との関連を明らかにすることを目的とした。このため、高磁場下でのパルスNMR測定装置を有するスイス・チューリッヒ大学のブリンクマン教授グループおよびNMR可能な濃縮核を用いた試料の作製をロシア・クルチャトフ研究所のヤクボフスキー博士等との共同研究として行った。 硼素超伝導体YNi_2B_2C、LaPt_2B_2C等の高磁場下でのNMR測定をチューリッヒ大学においておこない、超伝導層状物質である四元硼素化合物においてdスピンの揺らぎの効果が重要な役割を担っているのではなく、Bサイトでの緩和時間が低温に向かって増大する温度依存性は特異なバンド構造に起因するとしてことを明らかにした。更に、イオン半径の差異による局所スピン密度とスピンの揺らぎに関する系統的知見を得た。 一方、金属-絶縁体転移物質としてのスピネル化合物CuIr_2S_2において、SサイトをNMR可能な^<33>Sアイソトープに置換した試料をヤクボフスキー博士と協力して作製した。銅スピネル化合物におけるCuサイトでのナイトシフト、1/T_1の大きな減少は、MI転移でエネルギーギャップの形成によるスピン密度の減少を示している。さらに、MI転移において磁気秩序状態は現れないことがNMR測定結果より明らになった。また、2元合金系のCuIr_2(S_<1-X>Se_X)_4のCu-NMRを測定によりMI転移のx依存性とMI転移近傍におけるスピンの揺らぎの特徴的振る舞いについてを明らかにした。これらの成果を北京で開催された第5回高温超伝導体に関する国際会議で成果報告するとともに、同国際会議に参加した内外の多くの研究者との研究討論を行い理解を深めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kumagai,S.Ikeda,J.Roos,M.Mail and D.Brinkman: "^<195>Pt and ^<11>B NMR Study of LaPt_2B_2C and YNi_2B_2C" Physica. C272. 301-308 ((1996))
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[Publications] S.Ikeda,K.Kumagai,J.Jiang,C.C.Lai,and H.C.Ku: "NMR Study of Quaternary Superconductors RT_2B_2C (R=Y,La,Th and T=Ni,Pd,Pt)" Physica. C263. 526-529 ((1996))
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[Publications] A.Yamanaka,K.Kumagai,Y.Piskunov and A.Yakubovsky,: "Hyperfine Field and Electric Field Gradient at Various Cation Sites in RBa_2Cu_2NbO_8 and RSr_2Cu_2GaO_7" J.Phys.Soc.Jpn.65. 3336-3342 ((1996))
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[Publications] K.Kumagai,S.Ikeda,J.Jiang,C.C.Lai,and H.C.Ku: "NMR Studies of Quaternary Borocarbide Superconductors RM_2B_2C (R=Y,La,Th and T=Ni,Pd,Pt)" J.Low Tem.Physics. 105. 1641-1646 ((1996))
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[Publications] Y.Furukawa,A.Iwai,K.Kumagai,and A.Yakubovsky: "^<31>P-NMR Study of Low Energy Spin Excitations in Spin Ladder (VO)_2P_2O_7 and Spin Dimer VO (HPO_4) 0.5H_2O Systems" J.Phys.Soc.Jpn.65. 2393-2396 ((1996))
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[Publications] Tsuji,K.Kumagai,M.Kato,and Y.Koike: "NMR Study on Spin Gap in Spin Ladder Sr_<14>Cu_<24>O_<41>." J.Phys.Soc.Jpn.65. 3474-3477 ((1996))