Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MISKIMEN Ror マサチューセッツ大学, 助教授
TURCHINETZ W マサチューセッツ工科大学, 上級研究員
HICKS Ross.S マサチューセッツ大学, 準教授
PETERSON Ger マサチューセッツ大学, 教授
堀田 明男 静岡大学, 理学部, 教授 (00022111)
山崎 寛仁 東北大学, 理学部, 助手 (90260413)
今野 収 東北大学, 理学部, 助手 (90004449)
前田 和茂 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20125652)
宮瀬 晴久 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40005822)
須田 利美 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30202138)
菅原 真澄 東北大学, 理学部, 教授 (30004287)
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Research Abstract |
マサチューセッツ工科大学では,アウトオブプレーンで荷電粒子を測定する3台のスペクトロメータ(OOPS)が完成し,平成8年夏から本格的な実験に入った.このスペクトロメータは,極角と方位角を独立に設定でき,角度分布から反応断面積の干渉項を求めることができる.平成8年度は,偏極電子線を用いて,^<12>Cおよび重陽子の準弾性散乱領域における散乱電子と放出陽子の同時計数断面積を測定した. ^<12>Cは広く研究されている標準的な原子核で,実験データも豊富であるが,依然として多くの謎が残されている.今回の実験では,初めて偏極電子ビームを使用し,縦波型反応と横波型反応の干渉項を測定した.非偏極電子で求めた干渉項は,原子核構造に密接に関係している.これに対して,偏極電子を用いた時の干渉項から,いままで,計算に頼らざるを得なかった終状態相互作用の寄与を実験的に求めることができる. 重陽子標的な実験は,中間子交換電流や相対論的効果の評価を主な目的にしている.特に,非偏極電子と偏極電子を併用することにより,前者からは干渉項の実数部分が、後者からは虚数部分が得られ,干渉の様子を位相情報も含めて解明することができる. これらの実験は,成功裏に終了し,現在データを解析中である. マサチューセッツ工科大学には,数年前に完成したパルスストレッチャーがあるが,これを用いた本格的な実験はまだ行われていない.しかし,今後の実験には,このリングからの連続電子ビームを使う必要がある.そこで,3月に行われるリングのテスト運転に,日本からも2人研究者が立会う予定である.東北大学は,世界最初のパルスストレッチャーを10年以上に渡り運転した経験を有し,また,現在も1.2GeVの新しいリングを建設中である.今回の運転参加は,マサチューセッツ工科大学での今後の実験に必要なばかりでなく,東北大学で来年度から予定している,新しいリングの本格的運転にも貴重な情報をもたらすものと思われる.
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