1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044091
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高畠 敏郎 広島大学, 理学部, 教授 (40171540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 泰朋 コロンビア大学, 物理学科, 教授
カルビウス ゲオルクミハ ミュンヘン工科大学, 物理学科, 教授
レニュー ルイーピエール グルノーブル原子力研究所, 主任研究員
梅尾 和則 広島大学, 理学部, 助手 (10223596)
伊賀 文俊 広島大学, 理学部, 助教授 (60192473)
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
門脇 広明 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70194876)
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Keywords | 近藤半導体 / 中性子散乱 / ミュエスアール / スピングラス / スピンギャップ / 非フェルミ液体的挙動 |
Research Abstract |
近藤半導体のギャップ形成機構を解明する為に、中性子散乱とミュオンスピン緩和、及び極低温圧力下での比熱と磁化の実験を共同で実施した。実験に使用された単結晶試料は広島大学で高畠と藤井によって作製された。 1.中性子非弾性散乱 グルノ-ブル(仏)のラウエ・ランジュバン研究所でCeNiSnの中性子散乱実験がRegnaultとRaymondを中心に10テスラまでの磁場を磁化容易軸のa軸方向に印加して行われた。散乱ベクトル(010)と(001)の2meVの励起ピークは磁場と共に高エネルギー側に移行するのに対して、(00.51)の4meVの励起ピークは巾が広がり低エネルギーのスピンギャップを埋める。平成9年4月にさらに12テスラまでの実験を門脇も参加して行う。なお、門脇は偏極中性子の強いビームの得られる米国オ-クリッヂ国立研究所において結晶場励起を調べた。その結果は現在解析中である。 2.ミュオンスピン緩和 ラザフォード研究所(英)とパウルシェラ-研究所(スイス)でG.M.Kalviusのグループに高畠も参加してCeNi_<1-x>T_xSn(T=Cu,Pt)のμSR実験が行われた。T=Pt(x=0.12,0.2)ではCeNiSnと類似のスピン緩和が起こるが、T=Cuではx=0.1で既にスピングラス的振る舞いが0.9K以下で見られた。Cu置換によって磁性が発達するのは、3d電子状態密度が増加するからであると結論された。 3.極低温での比熱及び磁化 CeNi0.9Cu0.1Snのスピングラス的振る舞いは0.86Kでの比熱の折れ曲がりとしても観測された。さらに、x=0.05では25mKまで比熱/温度と帯磁率が降温と共に上昇し続けるという、非フェルミ液体的挙動が見出された。梅尾はCe_7Ni_3の非フェルミ液体的挙動の起源を明らかにする目的で、カ-ルスルーエ大学H.v.Lohnysenの研究室で高圧下の比熱を0.08Kまで測定した。反強磁性の消える臨界圧力0.33GPaの下の0.29Gpaでは比熱/温度は0.4Kで折れ曲がるが、0.33GPaでは0.2Kで緩やかな山を成す事が判った。この結果は比熱/温度が低温で一定になるというスピン揺らぎの理論の予想とは反する。圧力下でのスピン励起を明らかにするために、現在、中性子散乱実験を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Takabatake: "Hall Resistivity and Magnetoresistance of a Kondo Semimetal CeNiSn ibHigh Magnetic Fields" J.Phys.Soc.Jpn.Suppl.B. 65. 105-108 (1996)
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[Publications] S.J.Flaschin: "μSR studies of the development of magnetism in the Kondo semimetal CeNiSn coused by doping with La,Cu and Pt" J.Phys. : Condens.Matter. 8. 6967-6983 (1996)
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[Publications] K.Umeo: "Non-Fermi-liquid behavior at the pressure induced antiferromagnetic tononmagnetic tranrition in a heavy fermion conpound Ce_7Ni_3" J.Phys. : Condens.Matter. 8. 9743-9757 (1996)
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[Publications] S.Raymond: "Magnetic ercitations in CeNiSn under high magnetic field" PhysicaB. (1997)
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[Publications] S.Raymond: "Inelastic neutron scattering study of the Kondo semi conductor CeNiSn in high magnetic field" J.Phys. : Condens.Matter. 9. 1599-1608 (1997)
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[Publications] G.M.Kalvius: "μSR studies of Magnetic Correlations in Pt and Cu doped CeNiSn" PhysicaB. (1997)