1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044100
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
今里 純 高エネルギー物理学研究所, 物理, 教授 (40107686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIN Y.M. サスカチワン大学, 教授
HASINOFF M. UBC/TRIUMF, 教授
KUDENKO Y. INR, 上級研究員
LOBASHEV V. INR, 教授
新井 一郎 筑波大学, 物理学系, 講師 (50134440)
浅野 侑三 筑波大学, 物理工学系, 教授 (80100808)
田村 裕和 東京大学, 理学部, 助手 (10192642)
杉本 章二郎 東京大学, 原子核研究所, 教授 (20044753)
久野 良孝 高エネルギー物理学研究所, 物理, 助教授 (30170020)
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Keywords | T-violation / CP-violation / K_<μ3>崩壊 / μ^+横偏極 / トロイダルスペクトロメータ / K^+中間子 |
Research Abstract |
研究は、高エ研陽子シンクロトロンでの実験E246「K^+→π^0μ^+ν崩壊(K_<μ3>)における時間反転不変性の破れの探索」を中心に実施された。この実験は物理学の基本的対称性である時間反転対称性について研究するとともに、現在の素粒子物理学の重要課題であるCP-対称性の破れについて、標準模型以外の起源の知見を得ることを目的としている。昨年度までに、この崩壊を検出し、ミュオンの横偏極度を精密に測定する実験装置の完成と測定方法の確立が図られた。今年度からは、本格的な測定によるデータ収集が開始された。カナダとロシアから5名の研究者を迎えて、4月から11月にかけて約1400時間のシンクロトロンのビームタイムを実施し、K_<μ3>事象のみならず、副産物の崩壊モード、各種の較正の貴重なデータを蓄積することができた。測定は引き続き平成9年度も実施される。 実験データの解析は1)高エ研、2)ロシア科学アカデミー原子核研究所[INR]、及び3)カナダのTRIUMF研で開始された。高エ研では米国のプリンストン大学、韓国のKorea、Yenseiの2大学それに台北国立大学の協力を得て、計算機能力の最大限の利用のもとに、K_<μ3>事象の抽出の作業が進められるとともに、測定の系統性のチェック等が実施された。INR研ではこれとは全く独立な解析が進められている。現在のところ、横偏極の指標となる陽電子の平均非対称度は統計精度以内で零と一致しており、系統誤差は十分小さいことが示されている。 解析と平行して実験装置の性能向上・改良の作業が各地で進められた。TRIUMF研においてはC1ドリフトチェンバーの高計数率化のための作業が行われ、チェンバーの構造の改良のみならず読みだし回路の改良が日本からの派遣研究者の協力のもとに実施された。 この分野(特に時間反転不変性の破れ)の研究の将来の発展を国際的に検討する作業も始められ、E246実験の成果の報告やそれに基づく次期の実験の設計などの作業が、ロシア及びカナダのグループとともに進められた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 今里純,久野良孝Y.Kudenko,その他: "CsI (Tl) π^0-detector for experiments on the search for T-violation in the Kaou decay" Instruments and Experimental Techniques. 39・2. 164-172 (1996)
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[Publications] D.Dementyev,今里純,Y.Kudenko他: "CsI (Tl) calorimeter with photodiode readout to search for T-violation in K_<μ3> decay" Nuclear Instruments and Methods. A379. 499-501 (1996)
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[Publications] Y.Kudenko,今里純 浅野侑三,新井一郎他: "T-violation muon polarization in the K^+→π^0μ^+ν decay" Proceedings of Kaon Decay Workshop. (1996)
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[Publications] 今里純: "Search for T-violation in the K^+→π^0μ^+ν decay" Frascati Physics Series. (1997)
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[Publications] 今里純: "Kaon decay experiments at KEK-PS" Proceedings of 25th INS International Symposium. (1997)
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[Publications] Y.Kudenko,今里純その他: "Scintillation ring hodoscope with WLS fiber readout" Nuclear Intruments and Methods. (1997)