高技術マン・マシン・システムにおける人間行動の分析

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08044127
• Research Institution: TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY
• Principal Investigator: 伊藤 謙治 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (80159871)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): MORTEN Lind デンマーク工科大学, 自動制御システム研究所, 教授 ; FIUM R. Niel リソ国立研究所, システム分析部門, 研究員 ; LEIF Lovborg リソ国立研究所, システム分析部門, グループ長 ; PAULIA Hanse デンマーク, マルチメディア芸術学院, 学校長 ; 梅室 博行 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 講師 (80251651)
• Keywords: 認知モデル / リスク分析 / 短期記憶 / 船舶ナビゲーション / 認知シミュレーション / メンタル・ワークロード / ヒューマン・エラー / マン・マシン・システム

Research Abstract

本研究は,大規模・高度化したマン-マシン・システムにおける人間の挙動,および人間特性を解析するための認知モデルに基づくシミュレーション・アプローチに関する方法論を,大型船舶の航海作業を実例に展開したものである.当初の研究目的に対して,今年度の研究成果として得られた知見は以下に記す通りである.
(1) 昨年度実施した航海作業における非定常タスクの代表例としての「衝突回避タスク」に対するシミュレータ実験のデータをもとに,船長(ナビゲータ)の意思決定プロセスを分析した.このタスク分析結果に基づき,衝突回避のプロセス・モデルを構築した.現在,コンピュータ・シミュレーションが可能となるモデルを作成中であるが,それと同時に机上でのモデルの動作確認はほぼ完了している.
(2) 既に構築している「計画コース追従タスク」に対する船長の意思決定プロセスのモデルをさらに精緻化されたものに改善した.これをリスク分析に利用する方法論を完成させ,一部システム化も完了している.ここでは,タスク実行時の注意の配分やワークロードなどの人間特性の状況を再現する機能,さらにこれらのデータを簡易に評価・分析機能を実現している.また,さまざまな状況に対してシミュレーションを簡易に実行することが可能となるように,航海条件の簡易変更機能,シミュレーション結果の出力機能なども備えるシステムとなっている.
(3) 上記(2)に関連して,これまで構築してきた認知モデルに,タスク実行中の船長の短期記憶の状態をトレースする機能を付加した.これによりタスク遂行中のそれぞれの時点におけるメンタル・ワークロードを予測することが可能となった.このモデルを航海時のさまざまな条件下でシミュレーションを行うことにより,さらにリスク分析の効果が上がることが期待できる.

Research Products

• [Publications] Kenji Itoh: "A Cognitive Modeling Scheme for Task Analysis and Its Application to Computer Editing Task" International Journal of Cognitive Ergonomics. 2(3). 269-295 (1998)
• [Publications] Kenji Itoh: "A Cognitive Modeling of a Ship Navigator Based on Proticol and Eye-Movement Analysis" Le Travail Humain. 61(2). 99-127 (1998)
• [Publications] John Paulin Hansen: "Building a Cognitive Medel of Dynamic Ship Navigation on Basis of Verbal Protocds and Eye-Movement Data" Proceedings of the 5th Europesn Conference on Cogxitive Science Approaches to Process Control. 325-337 (1995)
• [Publications] Kenji Itoh: "Task Analysis on Basis of Cognitive Modeling:Application to Conputer Editing Task" Proceedings of International Symposium on Human Work with Computerized Systems in Service Sector. (1997)
• [Publications] Kenji Itoh: "Analysis of Ship Navigation Based on Cognitive Modeling" Proceedings of International Ergonomic Association 13th Triennial Cougress. 6. 343-345 (1997)
• [Publications] Kenji Itoh: "Data Elicitation and Task Analysis for Cognitive Operations in Ship Navigation" Proceedings of AIR & IHAS'97. 161-174 (1997)
• [Publications] Kenji Itoh: "Cognitive Modeling of Ship Navigation and Its Application to Risk Analysis" Proceedings of 7th European Conference on Cognitive Science Approackes to Process Control. to appear. (1999)
• [Publications] 伊藤 謙治: "バーバル・プロトコルと眼球運動データを用いた認知タスク分析と船海作業への応用" 日本人間工学会第36回大会講演集. 230-231 (1995)
• [Publications] 山口 俊憲: "認知シミュレーシンに基づく船舶ナビゲーション・タスクの分析" 日本人間工学会第38回大会講演集. 124-125 (1997)
• [Publications] 山口 俊憲: "船舶航行に対する認知シミュレーション・アプローチのリスク分析への応用" 日本人間工学会第40回大会講演集. to appear. (1999)
• [Publications] Kenji Itoh: "Cognitive Task Analysis of Ship Navigation by Use of Verbal Protocolc and Eye-Movement Data" Technical Report,Depertment of Industrial Engineering & Mauasement,TIT. 95-6. (1995)
• [Publications] 伊藤 謙治: "高度成熟社会の人間工学" 日科技連出版社, 365 (1997)
• [Publications] 伊藤 謙治: "人間工学ハンドブック" 朝倉書店(印刷中), (1999)
• [Publications] 伊藤 謙治: "新安全工学便覧" コロナ社(印刷中), (1999)