1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044129
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畑中 研一 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (70167584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 雄一 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (90153650)
ELBEIN Alan アーカンソー大学, 生化学科・分子生物学科, 主任教授
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Keywords | 酵素 / ウリジン / 糖転移酵素 / 阻害剤 / ガラクトシルトランスフェラーゼ / トレハロース合成酵素 / 置換ポリスチレン / 糖ヌクレオチド |
Research Abstract |
酵素反応には、ガラクトシルトランスフェラーゼ(ラクトースシンターゼ)を用い、α-ラクトアルブミン存在下におけるUDP-ガラクトースからp-ニトロフェニルα-D-グルコピラノシドへのガラクトース残基の転移をHPLCを用いて定量した。ウリジンを有するポリスチレンはガラクトシルトランスフェラーゼを阻害した。低分子量の競合阻害剤であるUDPやUMPと比較してかなり強い阻害作用(ドナー基質の1%の濃度で75%の阻害活性)であったが、阻害形態については不明である。多官能の高分子阻害剤であるためにデータにばらつきが生じたことが原因であろうと考えられる。強い阻害作用の主な要因としては、高分子阻害剤を用いたことによる高分子効果のため、見かけの結合定数が大きくなったためと考えられる。さらに、ウリジンとガラクトース(αおよびβ)を有する共重合体も同様の強い酵素阻害効果を示した。これに対して、ウリジンとα-D-グルコースを有する共重合体では阻害効果が極端に弱まることも発見した。この現象が単独重合体では見られないことから、ウリジンとα-D-グルコースを有する共重合対は特異的な立体構造をとり、ウリジン部分がポリマー鎖の内側に位置しているために起こった現象と推察される。一方、糖残基のみを有するポリスチレン誘導体では酵素阻害作用がまったくみられない。すなわち、本研究で用いた酵素は、基質である糖ヌクレオチドのウリジン部分に強く相互作用しているものと考えられる。 ガラクトシルトランスフェラーゼ以外の酵素についても阻害実験を行った。UDP-グルコースをドナー基質とし、グルコール残基をグルコース6ーリン酸のC-1位へ転移する酵素(トレハコース6ーリン酸シンターゼ,TPS)に対しても、ウリジンを有するポリスチレンは強い阻害効果を示した。興味深いことに、ウリジンを有するポリスチレンはドナー基質であるUDP-グルコースに対して阻害するが、もう一つのドナー基質であるGDP-グルコースに対しても阻害を示した。すなわち、TPSのGDP-グルコース結合部位にはポリスチレン中のウリジン残基も強く結合して酵素活性を阻害していることが判明した。換言すれば、TPS中のUDP-グルコース結合部位とGDP-グルコース結合部位は同じ場所であり、互いに競合阻害しあっていると考えられる。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 畑中研一, 富岡伸之ら: "天然多糖の修飾による分枝多糖の化学合成" 日本接着学会誌. 32・7. 256-260 (1996)
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[Publications] 南澤俊和、畑中研一: "生理活性を有する酸性多糖" 繊維学会誌. 52・2. P63-P68 (1996)
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[Publications] 畑中 研一: "生理活性の高い硫酸化多糖を求めて" 化学. 52・2. 68-69 (1997)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "New Polymeric Inhibitor of Galactosyl Transferace" Journal of Carbohydrate Chemistry. 16(印刷中). (1997)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "Synthesis and Biological Functions of Uridine Containing Polystyrene" Proceedings of XVIII International Carbohydrate Symposium. 18. 573 (1996)
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[Publications] 畑中研一、西村紳一郎、大内辰郎、小林一清: "糖質の科学と工学" 講談社サイエンティフィク, 176 (1997)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "Polysaccharides in Medicinal Applications" Marcel Dekker,Inc.(New York), 794 (1996)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "The Polymeric Materials Encyclopedia:Synthesis,Properties and Applications" CRC Press, (1996)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "Polymer Yearbook 13" harwood academic publishers, 342 (1996)