1996 Fiscal Year Annual Research Report
大陸内部の玄武岩質火山に発達する地熱系に関する研究
Project/Area Number |
08044156
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江原 幸雄 九州大学, 工学部, 教授 (10002346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
許 恵平 中国長春地質学院, 地物系, 副教授
張 良懐 中国吉林省, 地震局, 教授
金 旭 中国長春地質学院, 地物系, 教授
糸井 龍一 九州大学, 工学部, 助教授 (50108768)
渡辺 公一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (10182916)
茂木 透 九州大学, 工学部, 助手 (80182161)
藤光 康宏 九州大学, 工学部, 助教授 (10264095)
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Keywords | 地熱地域 / 地熱系 / 火山 / 玄武岩 / 地熱調査 / 長白山火山 |
Research Abstract |
研究対象地域である中国吉林省の長白山火山にある地熱地域において、その熱水流動系解明のため地温調査、放熱量調査および地化学調査を行った。地温調査では、地温高温異常が存在するのは火口周辺地域、山腹の温泉湧出地域およびその下流地域であることが明らかとなった。放熱量調査の結果、伝導による熱放出は小さく、本地域で放出されている熱はほとんど温泉水の湧出に伴うものであることが明らかになった。地化学調査では、ラドンガス,土壌空気中の炭酸ガス、土壌空気中の水銀、土壌中の水銀の空間的分布を明らかにするとともに温泉水および各種の地表水の採取を行った。これらの分析値のうち、高濃度異常が検出されたのは、いずれも地温異常が検出された地域からであった。温泉水の化学分析結果は、その化学成分が極めて一様であることが明らかにされた。また、温泉水・地表水の酸素・水素同位体分析結果は水の起源の大部分は天水起源であることが示された。 以上の調査結果に基づき、本地域の地熱系の概念モデルとして以下のようなモデルを作成した。それは「長白山火山深部より上昇してきた火山ガスは、その一部が火口周辺から直接放出されているが、大部分は火口湖およびその周辺から地下に浸透した天水と混合し、火山体内を下方に流下している。そして、山腹の高透水性の断層帯でその一部を地表に湧出し、残りは再び伏流水となって火山体を下方に流下している」というものである。 上で提出された地熱系モデルと本火山の第4紀以降の火山活動史を考慮すると、火山体の大部分が玄武岩質火山岩より構成されている長白山火山であるが、火山体に発達する地熱系はその熱源をマントル深部に直接起源を持つというより、比較的最近の酸性火山活動に伴う地殻浅部に存在する熱源より供給されたものと考える方がより妥当であると推定される。
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