1996 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の窒素利用に関わる酵素群の細胞内分布と発現の解明
Project/Area Number |
08044187
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山谷 知行 東北大学, 農学部, 教授 (30144778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 俊彦 東北大学, 農学部, 助手 (60261492)
TOBIN Alyson St. Andrews大学, 生物学科, 講師
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Keywords | イネ / 窒素代謝 / グルタミン酸合成酵素 / グルタミン合成酵素 / 免疫組織学的解析 / 免疫電子顕微鏡 / 維管束組織 / 根 |
Research Abstract |
イネの窒素利用の鍵を握るNADH依存性グルタミン酸合成酵素(GOGAT)と細胞質型グルタミン合成酵素(GS1)の組織内および細胞内分布と発現の解析を進め、以下のことが明らかとなった。 1.イネ葉身維管束組織内のGS1タンパク質の分布を葉位別に調べた結果、老化葉身では維管束組織内で物質転流の際に師管へ送り込む機能をもつ伴細胞と維管束柔細胞に分布していること、また若い未抽出葉身では厚壁組織細胞と木部柔細胞に存在していることが判明した。この結果は、老化葉身のGS1は窒素転流の際のグルタミン合成を担うことを示唆するとともに、イネ葉の成長に伴ってGS1の機能が変化している可能性を強く示した。この結果は国際学術雑誌のPlantaに公表した。 2.イネ根のNADH-GOGATタンパク質は、免疫組織学的な解析から、窒素の供給の有無に拘わらず維管束系が存在する根の中心柱に検出された。無機態窒素を与えると、ごく短時間に10倍以上にこのタンパク質及び活性が増加することは一昨年の研究で明らかにしていたが、この増加分のHADH-GOGATタンパク質は根の表皮および外皮の2層の細胞で特異的に発現していることが明らかとなった。さらに、研究分担者の早川俊彦が訪英して、Tobin博士の指導の元に根の中心柱の超薄切片を作成し、金コロイド免疫電子顕微鏡による観察の結果、イネ根のNADH-GOGATタンパク質はプラスチドに存在している結果を得た。これらの事実は何れも世界初の発見であり、現在公表の準備を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamaya,T.: "Occurrence of glutamine synthetase protein associated with plasma membrane in roots of rice (Oryza sativa L.)." Physiol. Mol. Biol. Plants. 2(1). 79-82 (1996)
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[Publications] Watanabe,K.: "Nucleotide sequence of cDNA encoding asparagine synthetase (Accession No. D83378) from rice callus (PGR96-20)." Plant Physiol.111(1). 347- (1996)
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[Publications] Watanabe,S.: "Expression of NADH-dependent glutamate synthase in response to nitrogen supply in rice cell cultures." Plant Cell Physiol.37(7). 1034-1037 (1996)
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[Publications] Sakurai,N.: "Cellular localization of cytosolic glutamine synthetase protein in vascular bundles of rice leaves." Planta. 200. 306-311 (1996)
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[Publications] 山谷知行: "細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ4モデル植物の実験プロトコール:イネ・シロイヌナズナ編," 秀潤社, 251 (1996)