1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00197146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOYAGES Stev ウエストメッド病院, 内分泌学研究室, 研究室長
CONTI Marco スタンフォード大学, 医学部, 助教授
BAXTER Rober コーリング医学研究所, 教授
CLLEMMONS Da ノースキャロライナ大学, 医学部, 教授
VAN Wyk Juds ノースキャロライナ大学, 医学部, 教授
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Keywords | IGF-1 / IGF-1レセプター / IRS / トロピックホルモン / cAMP / チロシンキナーゼ / 情報伝達 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
1)IGF-Iシグナル云達に重要な分子の抗体の作成:IOF-Iレセプターキナーゼ、インスリンレセプターキナーゼの基質であるIRS-1・IRS-2・ShCに対する特異的な抗体を作成した。2)IGF-I標的細胞におζるcAMPとIGF-Iシグナルの相乗作用の発現機構の解析:ラット甲状腺由来細胞FRTLL-5をあらかじめcAMP情報伝達経路を刺激し、この後IGF-1で刺激すると、細胞増殖が相乗的に誘導されることを発見した。この相乗作用発現機構を明らかにするために検討を進めたところ、cAMP経路を刺激することにより、SrcファミリーチロシンキナーゼのなかでもAblの活性が上昇し、この際p^<125>をはじめとしたいくつかのタンパク質のチロシンリン酸化が増加することが明らかとなった。特に、チロシンリン酸化p^<125>は、PI-3 kinaseのp85制御サブユニットに結合し、PI-3 kinaseを活性化することを見出した。また、このPI-3kinaseの活性化は、cAMPによるCyclin/CDK系の活性化に必須であることがわかった。一方、cAMP経路を刺激する薬剤で前処理後、IGF-Iで処理しIGF-Iレセプターキナーゼ基質のチロシンリン酸化を追跡したところ、IRS-2・ShcのIGF-I依存性チロシンリン酸化が増強され、この増強された情報が、ras/MAP kinase経路およびPI-3kinase経路に伝達されることが明らかとなった。特にIRS-2のチロシンリン酸化の増強には、cAMP依存的なチロシンフォスファターゼの抑制が、Shcのチロシンリン酸化増強には、cAMP刺激に応答したShcタンパク質の増加が重要であることも見出した。これらの現象は、甲状腺のみならず、卵巣や精巣由来の細胞にも観察され、内分泌細胞に普遍的に認められることを明らかにした。
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[Publications] Koide T,Ono Y et al.: "Insulin-like growth ractor-I potentiatcs protein synthesis induced by thyrotropin in FRTL-5 cells." Endocrinc J.45. 151-163 (1998)
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[Publications] Higashi Y,Takenaka A et al.: "Effect of protein restriction on the messenger ribonucleic acid contents of insulin-like growth factor-I and insulin-like growth factor binding proteins in liver of ovariectomized rats." Brit.J.Nutr.79. 447-453 (1998)
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[Publications] Miyatake N,Shikata K et al.: "Differential distribution of insulin-like growth factor-1(IGF-1) and insulin-like growth factor binding proteins(IGFBPs) in experimental diabetic rat kidney." Nephron. (in press).
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[Publications] Uchijima Y,Takenaka A et al.: "Dexamethasone induces IGFBP-1 gene transcription as well as stabilizes IGFBP-1 mRNA in primary cultures of rat hepatocytes." Endocrine J.(in press).
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[Publications] 高橋伸一郎、伯野史彦: "インスリン様成長因子をめぐる話題." BIO Clinica. 13. 963-969 (1998)
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[Publications] 伯野史彦、高橋伸一郎: "インスリン様成長因子遺伝子を過剰発現あるいは欠損させたらどうなるか-トランスジェニックマウスおよびノックアウトマウスを用いたIGFsとそのレセプターの機能の解析" ホルモンと臨床. (印刷中).
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[Publications] Takano K,Hizuka N,Takahashi S-I ed.: "“Molecular mechanisms to regulate insulin-like growth factors' activities"" Elsevier, 394 (1998)
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[Publications] 高橋伸一郎、伯野史彦: "24章 増殖因子.「細胞機能と代謝マップII. IV部細胞間コミュニケーション」" 東京化学同人, 14 (1998)