1996 Fiscal Year Annual Research Report
うま味の受容メカニズムに関する共同研究:味受容器におけるグルタミン酸応答の解析
Project/Area Number |
08044201
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 友彦 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (10027188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TEETER John モネル化学感覚センター, Member
RESTREPO Die モネル化学感覚センター, Member
松本 晋也 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (30263156)
林 由佳子 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (60212156)
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Keywords | 味覚 / グルタミン酸 / マウス / 画像解析 / 細胞内カルシウム / 膜電位 |
Research Abstract |
味覚は舌上皮上にある味細胞によって感知される。その感知機構は味細胞膜上にあるチャネルに味物質が直接作用する場合と受容体に作用する場合が考えられる。5基本味のうち、塩味や酸味はチャネルに、甘味・苦味は受容体を介して感知されていると考えられている。うま味受容は受容体を介して感知される可能性が有力であるが、他の4基本味に比べて研究が遅れているのが現状である。そのため、常に最新の研究成果を収集することは本研究を進めるにあたって非常に重要でり、特に行動学・神経生理の情報は有用である。今回、主要な研究室を訪問し学会に発表されていない情報を収集した結果、甘味・苦味に関与するGたんぱく質がうま味に関与していないであろうという情報を得た。そして、このGたんぱく質が関与する情報伝達機構を排除して研究を行った。 方法は細胞内カルシウムの変化と膜電位の変化を蛍光色素を使って可視化した。用いる緩衝液の組成によってグルタミン酸に応答した細胞の細胞内pHが変わり、カルシウム濃度が上昇し続けることによる細胞傷害を考慮して、一般的に用いられるHEPES緩衝液からリン酸-炭酸塩緩衝液に換えた。この結果、細胞内カルシウム濃度は刺激後回復し、くり返し刺激を行えるようになった。舌上皮から酵素処理によって単離した味蕾をグルタミン酸受容体のアゴニストであるNMDA(イオノトロピック型)・L-AP-4(代謝型)・グルタミン酸で味刺激したときの応答と、加えて、KチャネルブロッカーのTEAを存在させたときの応答も調べた。これにより、少なくともL-AP4、NMDAタイプの複数のグルタミン酸受容機構を味細胞は持っていることがわかった。 今後各々の受容機構が何に関係しているのか、つまり、味細胞におけるうま味受容、味細胞と味神経との味情報伝達、味細胞と基底細胞や味細胞間の味情報相互伝達機構への関わりについて調べることにしている。
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