1996 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸鎖複合体チトクロムbc_1の構造と機能:X線結晶解析と分子遺伝学解析の統合
Project/Area Number |
08044203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康弘 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (10154874)
佐伯 和彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40201511)
FEVZI Daldal Dept. of Biology Univ. of Pennsylvania, 教授
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Keywords | チトクロム / 膜蛋白質 / 結晶化 / 呼吸酵素 |
Research Abstract |
著者らはウシ心臓ミトコンドリア・チトクロムbc_1複合体の9Å分解能での構造解析を完了したが、Deisenhoferらは同じ複合体の3.8Å分解能での構造を国際結晶学会などで発表した。そこで独自の解析を取り止め、R.capsulatus複合体自体の構造解析に重点を置くこととした。 R.capsulatusチトクロムbc_1サブ複合体の結晶化:Rieskeサブユニットを欠くが健全なQiサイトを持つ変異サブ複合体について、大量精製を行い、結晶化をハンギングドロップおよびバッチ法により結晶化を試みているが、現在のところ解析可能な結晶は得られていない。 R.capsulatusチトクロムbc_1複合体への分子標識付加:迅速・高収量精製を行うために、Rieske蛋白質のC末端およびチトクロムc_1のC末端にHisを6残基付加する改変遺伝子2種を作製して、改変遺伝子とそれ以外のサブユニットの野生型遺伝子を保持させたプラスミドを構築した。これらを、チトクロムbc_1複合体を欠き光合成能を喪失した変異株MT-RBC1に導入して、標識付加体生産株を作製した。2種の標識付加体はそれぞれ分子活性が野性型の約20%と10%程度に低下したが、生産株はいずれも光合成能を回復した。各株を微好気条件で培養してクロマトフォアを調製後、オクチルグルコシドによってチトクロムbc_1複合体を可溶化、Niキレートカラムに吸着させ、His配列付加蛋白質をイミダゾール含有緩衝液で溶出した。いずれの場合も、90%以上の純度の複合体をこれらのステップのみで回収することができた。得られた標品は活性を保っていたが、溶出に用いるイミダゾールによってチトクロムbの一部が変性する場合があった。既に予備的な結晶化実験を行いつつあるが、純度の向上および変性を防ぐために精製法を改良する必要がある。
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