1997 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸鎖複合体チトクロムbc1の構造と機能:X線結晶解析と分子遺伝学解析の統合
Project/Area Number |
08044203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 宏造 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30201966)
高橋 康弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10154874)
佐伯 和彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40201511)
DALDAL Fevzi ペンシルバニア大学, 生物学科, 教授
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Keywords | チトクロムbc1複合体 / 迅速精製 / 分子標識 / 光合成細菌 |
Research Abstract |
呼吸鎖電子伝達系複合体における電子伝達に伴うプロトン濃度勾配の形成は,生物のエネルギー獲得の重要なプロセスである.著者らは,ユビキノール-チトクロムc酸化還元酵素複合体の原子レベルでの反応機構の解明のために,1)光合成細菌Rhodobacter capsulatusチトクロムbc_1複合体の迅速精製法の改良,2)分子標識付加チトクロムbc_1複合体の分光学解析,3)分子標識付加R.capsulatusチトクロムbc_1複合体の結晶化・結晶解析、を行いつつある。迅速かつ大量の精製を行うために、昨年度までに光合成細胞Rhodobacter capsulatus bc_1複合体のサブユニットであるチトクロムc_1とRieske蛋白質のカルボキシル末端それぞれにヘキサ-ヒスチジン配列を付加した改変遺伝子2種を作製している。今回、c_1標識体とRieske標識体。改変遺伝子をbc_1複合体を欠損するMT-RBC1株に導入して、導入株ならびに産物の性質を調べた。親株であるMT-RBC1は光合成的に生育できないが、標識複合体のいずれかを保持する株はその能力をほぼ野性株程度にまで回復した。クロマトフォア膜レベルでは、差スペクトル、EPR、酸化還元滴定のいずれの解析においても、野生型とほぼ同等の性質を示した。しかし、DBH-チトクロムc還元活性は、野生型の約35%(c_1標識体)と約20%(Rieske標識体)に低下していた。2種の標識複合体はどちらも、ドデシルマルトシドによる可溶化後、Ni^<2+>NTAクロマトグラフィーによって90%以上の純度に精製できた。精製標品の比活性は膜標品での値にほぼ対応していた。しかしながら、c_1標識体は高濃度のイミダゾールに感受性を持ち、精製過程でヘムbあるいは鉄硫黄クラスター含量の著しい低下をきたす場合があった。現在、結晶化条件の検索中である。
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