1996 Fiscal Year Annual Research Report
植物プロテアーゼの細胞内輸送及び翻訳後プロセシングの分子機構
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08044217
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
南川 隆雄 東京都立大学, 理学部, 教授 (30087001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MATTHEWS B.F アメリカ農務省ベルツヴィル農業研究センター, 研究員
HERMAN Ellot アメリカ農務省ベルツヴィル農業研究センター, 室長
岡本 龍史 東京都立大学, 理学部, 助手 (50285095)
山内 大輔 東京都立大学, 理学部, 助手 (40220222)
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Keywords | プロテア-ザ / 細胞内輸送 / プロセシング / 免疫化学 / 形質転換 / 免疫電顕法 / エンドペプチダ-ザ / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
標記の課題につき生化学及び細胞生物学両面からの研究を行い、次の結果を得た。 1)ケツルアズキ発芽子葉から単離したシステインエンドペプチダーゼ(SH-EP)前駆体cDNAを、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫培養細胞sf-9に入れこみ、その発現を調べた。タンパク質免疫プロット法による解析の果、小胞体残留シグナルとされるC末端KDEL配列を含むSH-EP前駆体を導入した場合、SH-EPの大部分は細胞内に見出され、一部が細胞外へ分泌された。しかしKDELを欠失させたcDNAでは、逆にSH-EPの大部分は細胞外に分泌された。また、ダイズから得られたシステインプロテアーゼ類似タンパク質P34(C末端KDEL配列を欠く)についても同様の実験を行ったところ、やはり細胞内に大部分を見出され、一部分が培養液中に分泌された。以上の結果は、植物由来のKEDL配列が昆虫培養細胞中でも小胞体残留シグナルとして正しく受容体によって認識され、機能していることを示唆している。 2)SH-EPを発現しているsf-9細胞を用いて、細胞内分画及び免疫組織化学分析を行い、これによっても、KDEL配列をもつSH-EPは、それを人為的に除いたSH-EPと比べて、小胞体に残留する割合が非常に高いことが示された。1)の結果と考えあわせると、SH-EPのC末端KDEL配列は、SH-EP分子の外側に露出しており、sf-9細胞中のKDEL受容体によって認識されて小胞体に輸送されることが推定される。また、SH-EP(KDEL_+)を発現させたSf-9細胞中には、SH-EPを含む封入体様の構造が確認された。これは、小胞体に残留するSH-EPが多すぎたため、その結果として、小胞体中で封入体様の小胞に蓄積した可能性を示すものと考えられる。なお、P34を発現しているsf-9細胞をツニカマイシンで処理した結果、P34はsf-9細胞内で糖類の付加を受けることが確認された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Okamoto,T., Miura-Izu,Y., Ishii,S.,Minamikawa,T.: "Asparaginyl endopeptidase in developing and germinating legume seeds: Immunological detection and quantitation." Plant Science. 115. 49-57 (1996)
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[Publications] Kato,H., Minamikawa,T.: "Identification and characterization of a rice cysteine endopeptidase that digests glutelin." Eur.J.Biochem.239. 310-316 (1996)