1996 Fiscal Year Annual Research Report
シャーガス病の感染防御機構の研究-免疫応答関連遺伝子の役割-
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08044241
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
斎藤 奨 山形大学, 医学部, 助教授 (50034004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KENNETH M.Mu ワシントン大学, 医学部, 講師
GRACIELA Rus アスンシオン大学, 保健科学研究所, 主任研究員
渡辺 正 山形大学, 医学部, 助手 (60113990)
山下 隆夫 山形大学, 医学部, 助手 (80018928)
金川 修身 ワシントン大学, 医学部, 助教授
多田 功 九州大学, 医学部, 教授 (60064531)
仙道 富士郎 山形大学, 医学部, 教授 (80091833)
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Keywords | Trypanosoma / シャーガス病 / IFN-γ / アイソザイム / 中米 / パラグアイ / サイトカイン / strain |
Research Abstract |
Trypanosoma cruziは宿主細胞内増殖性原虫であるため、細胞性免疫による防御機構を駆使して、細胞内の原虫を攻撃することが報告されている。他方、虫体の側には宿主の防御機構を巧みに逃れる機構が存在し、虫体のstrainにより感染後の病態に差が認められることがしられている。本研究ではこれらの複雑なシャーガス病の病態を解明する目的でTrypanosoma cruzi感染により産生されるヒトサイトカインIL-2,IL-4,IL-6,IL-8,IFN-α,β,γおよびTNF-aが虫体に対してどのように作用しているのかをepimastigoteの増殖、trypomastigoteのLLC-MK2細胞への感染でを検討した。その結果1)IFN-γでepimastigoteの強い増殖が認められたが、他のサイトカインには効果が認められなかった。2)IFN-γの存在下LLC-MK2細胞への感染率が上昇した。3)抗IFN-γサイトカイン抗体の存在下ではepimastigoteの増殖促進、LKC-MK2細胞への感染率上昇は抑制された。IFN-γはマクロファージなどを活性化して生体防御に働くサイトカインであるがT.cruziは宿主の防御機構を逆に利用して生存していることが推測される。 シャーガス病の病型にはいろいろな差があることがしられている。その原因とし病原体であるトリパノソーマのstrainの差によっているという説も有力視されている。中米のT.cruziのアイソザイムパターンを遺伝学的に解析し、その結果を南米産のものと比較しようと試みた。中米グアテマラからは57、南米からは11分離株について、12種の酵素のアイソザイム分析をおこない、UAPGMA法により系統樹を作成した。この結果10種のザイモデムが認められ、これらは遺伝的距離により大きく3グループに分けられた。第1グループはグアテマラ株の大部分を含み、第2グループはグアテマラの1株のみから成る。第3グループは南米に特有なもので南米の11株中5株が含まれていた。この結果から病型とT.cruziの系統との関連性が示唆されるが、調べた株の数、特に南米産のものが少ないので今後さらに検討する必要がある。またハ-ディ、ワインベルクの法則による分布からのずれは統計的に有意で、遺伝子の交換を行っていない可能性がたかいことが示された。
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