1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08044261
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SILVA Alcino コールドスプリングハーバー研究所, 主任研究員
熊 化保 新潟大学, 脳研究所, 日本学術振興会研究員
齋藤 真子 新潟大学, 脳研究所, 助手 (50283023)
大津 洋 新潟大学, 脳研究所, 助手 (40277504)
永野 隆 新潟大学, 脳研究所, 助手 (70272854)
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Keywords | 神経栄養性因子 / シナプス / 成長因子 / ノックアウトマウス / 神経成長因子 / BDNF |
Research Abstract |
神経系に於てシナプスの可塑性の関連する表現型は、神経伝達物質そのものも含め非常に多様であるが、個々の神経細胞はそのうちから数種類のシナプス分子を発生期に選択・発現し、その量を調節することで脳内情報を正確に伝達、保持する必要がある。つまり脳は、多様な神経細胞により構築された異なるシナプス回路を基盤にし、個々の神経細胞が適切な神経伝達することで機能している。実際、多くの神経・精神疾患において、神経伝達物質・その受容体の産生異常が見られることも、伝達物質の適切な合成制御が重要であることを裏ずけている。 これまでの培養神経細胞を使った我々の研究で、神経成長因子(NGF)に代表される液性細胞間生理活性物質が末梢神経細胞の神経伝達物質の表現形を、また中枢神経系の神経ペプチドの合成、伝達物質受容体の発現を制御していることが判明した。これらの研究は、我々のグループのコールドスプリングハーバー研究所での発現に起因するものがあるが、本国際学術研究もこのコールドスプリングハーバー研究所在籍時代の共同研究実績に基づき神経栄養性因子とその関連遺伝子のノックアウトマウスを解析することで、in vivoにおける神経栄養性因子のシナプス発達での機能とそのメカニズムを探るものである。特に本年度においては神経栄養性因子BDNF、神経栄養性因子の刺激により活性化されると予想される蛋白リン酸化酵素Fynと一酸化窒素合成酵素NOS,神経栄養性因子の刺激により制御されうる転写制御因子、CREBをその研究対象として絞り、これらの遺伝子を欠損するノックアウトマウスを解析した。日本側研究者がコールドスプリングハーバー研究所のSilva博士および彼の共同研究者Hung博士のところを訪ね、これらのノックアウトマウスの提供を受け、その一部を組織化学的に解析した後、残りは凍結させて持ち帰った。神経栄養性因子により制御されていると考えられる標的遺伝子、またはそのタンパクのうちシナプス機能と関連する神経伝達物質とその受容体の発現を中心に解析を進めた結果、神経栄養性因子BDNFまたはリン酸化酵素Fynを欠損するノックアウトマウスでは、大脳においてグルタミン酸受容体の発現異常やNOSの低下がみられたのに対し、逆に、NOSノックアウトマウスでは神経栄養性因子の発現異常がみられた。このことは、神経栄養性因子とこれらシナプス分子が脳の発達過程において協調的に相互作用しあいシナプスの機能発達を促していることを示唆するものと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 那波 宏之: "神経系の発生とシナプス形成・伝達物質の選択" Clinical Neuroscience. 15・3. 253-256 (1997)
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[Publications] Hiroyuki Nawa 他2名: "Neurotrophic Factors in Brain Synaptic Plasticity" Critical Rev.Neurobiology. 11・1. 91-100 (1997)
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[Publications] Mako Narisawa & Hiroyuki Nawa: "Differential Regulation of Hippocampal Neurotrophins" J.Neurochemistry. 67. 1124-1131 (1996)
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[Publications] 那波 宏之・大津 洋: "中枢神経系における神経栄養性因子とシナプスの可塑性" 蛋白質核酸酵素. 41・16. 2513-2521 (1996)