1996 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスに対する胚の防御反応についての分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
08044268
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 稔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (20090425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WALSH David. シドニー大学, 獣医学部, 研究室主任
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50252292)
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Keywords | ストレス蛋白 / 熱ショック蛋白 / 遺伝子発現 / エックス線 / 胚 / 適応応答 / マウス / ラット |
Research Abstract |
(1)ラット胎児を培養液の中で42℃10分間の熱ショック処理を行い,1時間後に抽出したRNAと無処理の胎児試料より得たRNAから,逆転写によりcDNAを得た.これをランダムプライマーを用いて増幅し比較することによって,ストレスに応答して発現する遺伝子を検索した.塩基配列の決定できたものから,ホモロジー・サーチによってこれらが既知の遺伝子であるか検索したが,登録されているものにホモロジーのあるものはなかった.そこで2種の未知の蛋白について塩基配列からアミノ酸配列を決め,ペプチドを合成した.今後,ウサギに免役して抗体を作製し,免疫組織化学的方法とin situハイブリダイゼーション法により,胎児の熱ショックおよび極低線量X線照射後の発現パターンを検討する. (2)妊娠8日マウス胎児に50ミリグレイのX線を照射したところ,熱ショック蛋白質HSP27,HSP47,HSP71とも4時間後に検出され,8時間後には劇的に増加した.またc-Fos,Ras蛋白,Proliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)も同様に4時間後から検出され,8時間後には劇的に増加した.X線によって細胞分裂がG2期で停止し,4時間後には回復して放射線抵抗性のS期に入りかかったと考えられる.この時の妊娠母体に0.5または1グレイのX線を照射して,胎児の外表奇形を0.5および0.55グレイ,または1および1.05グレイ単一照射群と比較したが,成立頻度に統計的有意差はなく外表奇形誘発についてX線抵抗性は観察されなかった.しかし骨格異常が多数観察されたので,現在多数の胎児について骨格標本の作製と観察を急いでいる.
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[Publications] 井上 稔: "The lack of raioadaptive response during induction of the neural tube to developmental defects in mice." Teratology. 54・4. 51A-52A (1996)
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[Publications] 井上 稔: "The lack of raioadaptive response during induction of the neural tube to developmental defects in mice." Congenital Anomalies. 36・3. 199 (1996)
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[Publications] 井上 稔: "Fractionated-dose effect of X-radiation on the induction of neural tube defects in mice." 1st Asian Pacific International Congress of Anatomists Programs & Abstracts. 163 (1996)