1996 Fiscal Year Annual Research Report
新しいカルシウムシグナリングに関する分子細胞薬理学的研究
Project/Area Number |
08044270
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HEIZMANN C.W チューリッヒ大学, 医学部, 教授
伊奈田 宏康 三重大学, 医学部, 助手 (90283522)
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
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Keywords | S100C / S100L / カルシウム結合蛋白質 / プロプラノロール / 遺伝子発現変化 / 心疾患 / 好酸球走化性因子 / 癌細胞 |
Research Abstract |
カルシウム結合蛋白質は、細胞内セカンドメッセンジャーであるカルシウムイオンの作用分子として様々な役割を果たしていることは周知の事実である。これらの細胞内情報が、遺伝子発現機構にも関与することから、各疾患における役割について注目され、その機能など新たに見直されている。しかしながら、我々が発見した新しいカルシウム結合蛋白質S100Cについては、各疾患との関連性については報告されていない。我々は、S100CのcDNAクローニングに成功し、その一次構造を明らかにしている。そこで我々は、S100Cの生理的、薬理的および病態的役割りについて詳細に検討した。 β-ブロッカーであるプロプラノロールは、多くの心疾患の治療に用いられており、その心筋保護作用が認められるもののそのメカニズムは不明な点が多い。そこで我々は、プロプラノロールの新しい作用分子としてS100Cを見い出した。また、プロプラノロールのS100Cに対する親和性は、他のカルシウム結合蛋白質よりも高く、プロプラノロールに結合すると報告されているカルモデュリンやトロポニンCに比らべ低く、プロプラノロールが心筋保護作用を発現する濃度にほぼ等しいことが明らかとなった。これらのことから、プロプラノロールの心筋保護作用においてS100Cの関与が強く示唆された。さらに我々は、ラット心筋梗塞後の心不全時においてS100Cの遺伝子発現が変化するという新たな知見を得ている。すなわち、S100Cが心疾患の病態において重要な働きを示唆するものである。また我々は、同じS100ファミリーに属するS100Lが、好酸球の新しい走化性因子であることを明らかにした。すなわち、S100Lで気管支喘息のモデル動物として広く使用されているモルモットの好酸球を刺激したところ、S100Lは強い走化活性を持つことが示された。すなわち、好酸球の新しい走化性因子として我々が再発見したS100Lは、気管支喘息やアレルギーの病態に重要な役割を果たす可能性が示唆された。また、共同研究者であるC.W.Heizmannらは、癌細胞でS100Lの遺伝子発現が変化する知見を得ている。 さらに我々は、S100Cの細胞同期依存性発現変化を見い出しており、S100Cの癌細胞における遺伝子発現変化が十分予想される。すなわち、S100CおよびS100Lが種々の病態において何等かの重要な役割を果たしていることが考えられ、今後その詳細な検討をする予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Takuya,K.,et al.: "Novel Specific Chemotactic Receptor for S100L Protein on Gunia Pig Eosiniphils" Biochemical and Biophysical Research Communications. 220. 971-874 (1996)
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[Publications] Kaname,N.,et al.: "Interaction of Propranolol with S100 Proteins of the Cardiac Muscle" European Journal of Pharmacology. 315. 335-338 (1996)
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[Publications] Kluge,C.,et al.: "Chromosomal localization,genomic structure and characterization of the human gene and a retropseudogene" European Journal of Biochemistry. 240 2. 477-484 (1996)
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[Publications] Blau,N.,et al.: "Tetrahydrobiopterin loading test in xanthine dehydrogenase and molybdenum cofactor deficiencies." Biochemical and Molecular Medicine. 58 2. 199-203 (1996)
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[Publications] Toida,K.,et al.: "Electron microscopic serial-sectioning/reconstruction study of parvalbumin-containingneurons in the external plexiform layer of the rat olfactory bulb" Neuroscience. 72 2. 449-466 (1996)
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[Publications] Ilg,E.C.,et al.: "Amino acid sequence determination of human S100A12(P6,calgranulin C,CGRP,CAAF1)by tandem mass spectrometry" Biochemical and Biophysical Research Communications. 225 1. 146-150 (1996)
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[Publications] Schafer,B.W.,et al.: "The S100 family of EF-hand calcium-binding protein:functions and pathology.[Review]" Trends in Biochemical Sciences. 21 4. 134-140 (1996)
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[Publications] 田中利男 他: "カルシウムイオンと好酸球性炎症" Clinical Calcium. 107 6. 9-12 (1996)
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[Publications] 田中利男 他: "薬理学メーリングリストの創設と活用状況" 日薬理誌Folia Pharmacol.Japan. 108. 31-35 (1996)
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[Publications] T.Tanaka,et al.: "Guidebook to the Calcium-binding Proteins Editerd by Marco R.Celio Co-edited by Thomas L.Pauls and Beat Schwaller" A SAMBROOK & TOOZE PUBLICATION AT OXFORD UNIVERSITY PRESS, 155-156 (1996)