1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける遺伝子置換を用いたMycファミリー遺伝子の個別的制御機能の解析
Project/Area Number |
08044286
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 雄二郎 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (30181069)
ANDRAS Nagy Mount Sinai Hospital, Research Institute, Senior Res
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Keywords | N-myc / L-myc / c-myc / Ndr-1 / Cre / LoxP / ES細胞 |
Research Abstract |
N-myc,L-myc,c-mycをメンバーとするMycファミリー遺伝子は、細胞分化、細胞増殖に重要な機能を果していると考えられる原がん遺伝子であり、長いあいだ研究の対象とされてきたが、未だその真の機能は明らかではなかった。 そこで、特に我々が最近単離に成功したN-mycによって制御される遺伝子Ndr1を指標として、N-myc遺伝子によるその遺伝子の制御を解析すること、またそれに対する作用の特異性を明かにすること、また、N-mycとL-mycの2重突然変異体マウスがどのような表現型を示すかなど個体レベルでの解析を行なった。 (1)N-myc欠損胚で発現が上昇する遺伝子として単離されたNdr1遺伝子を解析したところ、プロモーター上流側に、Myc:Max結合配列が多数存在し、またこのプロモーターはN-myc:Maxによって抑制されることを示した。 (2)N-mycとL-mycは発現が重複し、一方、L-myc欠損マウスが全く異常を示さないことから機能的重複が示唆された。そこでN-myc、L-myc2重突然変異体を作製したところ、N-myc単独の突然変異体と全く差がなく、個体レベルでは機能的重複は否定された。しかし、Ndr-1は、L-myc突然変異体においてもまた発現が上昇するようであり、個々の遺伝子レベルでは、作用は重複している可能性がある。 (3)N-myc遺伝子座にc-mycのcDNAを導入したES細胞を作製は、ターゲッティングベクターの作製に手数を要したが(2段階の標的遺伝子組換えとCre-LoxP系による不要な塩基胚列の除去による)完了し、ES細胞でのスクリーニングを行なっている。 (4)N-mycの欠損をC57B1/6系統に導入すると、これまでに観察されていた異常に加えて、眼の形成異常が観察されるようになった。L-mycはこの表現型に関与しない。
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