1996 Fiscal Year Annual Research Report
原虫感染防御あるいはエスケープに係わる熱ショック蛋白質の機能
Project/Area Number |
08044296
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
姫野 國祐 徳島大学, 医学部, 教授 (50112339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 一 徳島大学, 医学部, 助手 (50243689)
KUMAR Nirbha The johns Hopkins University, 助教授
AIKAWA Masam Case Western Reserve University, 教授
POLLA Barbar University of Paris, 助教授
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Keywords | 原虫感染 / 細胞性寄生性 / HSP / マクロファージ / γδT細胞 / NKT細胞 / 病原性 / アポトーシス |
Research Abstract |
病原体のHSPは感染宿主の環境への適応、増殖型への形態変換などの自身の病原性に関わっていること、宿主のHSPは感染による細胞へのストレスに対して発現することが分かっているが、その詳細な機能は分かっていない。そこで我々は宿主のHSP、特にHSP65の細胞内寄生原虫感染における発現機序と機能を検討してきた。 遺伝的にT細胞を欠損したスキッドマウスはいずれの感染に対しても抵抗性を得ることができない。このマウスではHSP65の発現は見られず、またT細胞を除去したマウスでもHSP65の発現は抑制されていた。これらの結果からHSP65の発現にはT細胞が重要であることが明らかになったので、どのT細胞サブセットが重要かを調べた。トキソプラズマ感染に先だってγδT細胞を除去したマウスでは感染抵抗性は弱まり、HSP65の発現も著しく抑制され、一方αβT細胞の除去ではγδT細胞が一過性に増加しHSP65の発現が増強されたことから、トキソプラズマ感染においてはHSP65発現にはγδT細胞が重要であることが明らかになった。同様のアプローチでリーシュマニアではNKT細胞が、クルーズトリパノソーマ感染はCD4^+αβT細胞がHSP65の発現に必要だった。 マクロファージに発現したHSP65がどのように宿主の防御機構に貢献するかについて、この蛋白の本来の機能である細胞の維持に関わっていると考えトキソプラズマ感染による細胞死との関係について解析した。強毒株を感染させたマウスのマクロファージは弱毒株を感染させたものに比べ、細胞死の1つの形態であるアポトーシスを起こすものが多く見られた。また、弱毒株感染でもγδT細胞を除去したマウスのマクロファージでは細胞死を起こしやすくなった。試験管内の感染でマクロファージにHSP65をあらかじめ誘導するとアポトーシスが一部抑制され、その効果はこの蛋白に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入することで無くなった。これらの結果からHSP65は原虫の感染によって引き起こされるマクロファージのアポトーシスを抑制していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hisaeda,H.: "Mechanisms of HSP65 expression induced by γδT cells in murine Toxoplasma gondii infection." Pathobiology. 64. 198-203 (1996)
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[Publications] Himeno,K.: "Contribution of 65-kDa heat shock protein induced by gamma and deltaT cells to protection against Toxoplasma gondii infection." Immunol.Research. 15. 258-264 (1996)
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[Publications] Hisaeda,H.: "Contribution of extrathymic γδT cells to the expression of heat shock protein and to protective immunity in mice infected with Toxoplasma gondii." Immunology. 88. 551-557 (1996)
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[Publications] Hara,T.: "Human Vδ2^+γδT-cell tolerance to foreign antigens" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 93. 5136-5140 (1996)
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[Publications] Hisaeda,H.: "Role of host-derived heat shock protein in protective immunity against infection with Toxoplasma gondii." Parasitology Today,. (in press). (1997)
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[Publications] Hisaeda,H.: "HSP65 induced by γδT cells prevents apoptosis of macrophages and contributes to host defense in mice infected with Toxoplasma gondii." J.Immunol.,. (in press). (1997)