1997 Fiscal Year Annual Research Report
顕微光学法による免疫系と神経系のクロストークの研究
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08044312
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中西 守 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (90090472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ブレナーハセット マイケ マクマスター大学, 健康科学部, 準教授
パデュー マリー マクマスター大学, 健康科学部, 教授
ビーネンストック ジョン マクマスター大学, 健康科学部, 教授
手島 玲子 国立医薬品食品衛生研究所, 主任研究官 (50132882)
古野 忠秀 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (80254308)
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Keywords | アレルギー反応 / 肥満細胞 / 神経成長因子 / 神経節初代培養細胞 / 共存培養 / 共焦点レーザ顕微鏡 / カルシウムイオン / サブスタンスP |
Research Abstract |
即時型アレルギー反応に関与する肥満細胞や好塩基球の細胞膜には神経成長因子や神経ペプチドの受容体が存在し、免疫系と神経系との相互作用(クロストーク)が強く示唆されている。この種のクロストークは、ストレスとアレルギー反応の関連や自律神経過剰興奮に伴う種々の疾病の発症の要因であると考えられている。しかし、免疫系と神経系のクロストークを追究する適切な研究手段はこれまでなく、その分子機構の解明はほとんどなされてこなかった。そこで、本研究では、カナダ・マクマスター大学のビ-ネンストック教授らのグループと調査研究実績の項に記載の共同研究を遂行するとともに、神経成長因子(NGF)の存在下で肥満細胞(好塩基球)と神経節初代培養細胞との共存培養(co-culture)システムの確立に成功した。同時に、それら共存培養システムでの細胞機能を共焦点レーザ顕微鏡および原子間力顕微鏡を駆使して追究するシステムの確立にも成功した。そして、神経細胞をbradykininで特異的に刺激すると、神経突起部でのカルシウムイオン濃度の上昇の後に、神経突起と接触している肥満細胞のカルシウムイオン濃度が上昇することを明らかにした。その際、肥満細胞単独ではbradykinin刺激により細胞内カルシウムイオン濃度上昇は起こらなかった。また、サソリ毒(scorpion venom)で神経突起に刺激を与えたときにも、神経突起と接触した肥満細胞に特異的なカルシウムシグナルの誘導が起こることを明らかにした。これらは、神経細胞の活性化の情報が細胞間相互作用により免疫細胞に伝達することを示した世界で最初の研究となった。また、神経細胞から免疫細胞(肥満細胞)への情報伝達にはサブスタンスPが関与していることも明らかにした。これらの研究成果は神経系と免疫系のクロストークを細胞間レベルで明らかにした世界で最初の成果であり、本研究の成果は誠に甚大である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] C.Kawaura: "Atomic force microscopy for studying gene transfection mediated by cationic liposomes with a cationic cholesterol derivative." FEBS Lett.421. 69-72 (1998)
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[Publications] R.Teshima: "Effect of an ectokinase inhibitor,K252b,on degranulation and Ca2+ signals of RBL-2H3 cells and human basophils." J.Immunol.159. 964-969 (1997)
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[Publications] R.Okayama: "Cationic cholesterol with a hydroxyethylamino head group promotes significantly liposome-mediated gene transfection." FEBS Lett.408. 232-234 (1997)
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[Publications] M.Nakanishi: "Intracellular localization of antisense DNA transferred by cationic liposomes with a cationic cholesterol derivative." Cell Vision. 4. 128-129 (1997)
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[Publications] T.Furuno: "Surface Expresstion of CD63 Antigen (AD1 Antigen) in P815 Mastocytoma Cells by Transfected IgE Receptors." Biochem.Biophys.Res.Commun.219. 740-744 (1996)
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[Publications] T.Okabe: "Confocal Fluorescence Microscopy for Antibodies against a Highly Conserved Sequence in SH2 Domains." Biochem.Biophys.Res.Commun.223. 245-249 (1996)
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[Publications] 中西 守: "生物のスーパーセンサー" 共立出版, 186 (1997)
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[Publications] 中西 守: "見る技術(分子・細胞のバイオイメージング)" 蛋白質核酸酵素増刊号, 350 (1997)