1996 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系におけるKチャネルの多様性に関する分子生物・薬理学的研究
Project/Area Number |
08044313
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
渡辺 稔 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50012638)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WALSH Micha カンガリー大学, 医学部, 教授
GILES Wayhe カンガリー大学, 医学部, 教授
大矢 進 名古屋大学, 薬学部, 助手 (70275147)
村木 克彦 名古屋大学, 薬学部, 講師 (20254310)
今泉 祐治 名古屋大学, 薬学部, 講師 (60117794)
|
Keywords | RT-PCR法 / 平滑筋 / 内向き整流性Kチャネル / 早期不活性型K電流 / アラキドン酸 / Ca依存性Kチャネル / L型Caチャネル |
Research Abstract |
RT-PCR法を用いてウサギ腸間膜動脈第3分枝の平滑筋細胞の内向き整流性Kチャネルをクローニングしたところ、ウサギ心室筋由来のもの(IRKl)と100%相同であった。第3枝から単離した平滑筋細胞100にμM Ba2+により選択的に抑制される内向き整流性K電流が僅かではあるが存在すること、そして血管内革を除去した腸間膜動脈灌流標本でBa2+により5mmHg程度の灌流圧上昇が見られることを見出した。すなわち、IRKl遺伝子から発現した内向き整流性Kチャネルが量間膜動脈平滑に存在し、静止膜電位と静止張力の調整に一部寄与していることが明らかとなった(投稿中)。 心筋と平滑筋(精管・結腸・尿管)の早期不活性化(Aタイプ)K電流はその性質が非常に類似しているにもかかわらず、アラキドン酸により後者が選択的に抑制されることを見出し、この選択性は細胞内情報伝達の違いによるものではないことを明らかにした(Am. J. Physiol.) 。そこで心筋・平滑筋においてAタイプK電流を担うKチャネルの遺伝子が異なる可能性を検討するため、RT-PCRを用いてKv1.4、4.2および4.3のmRNA発現量を定量的に比較した。その結果、平滑筋においてKv4類の寄与が大きく、心筋においてはKv1.4の寄与がより大きい可能性を明らかした(投稿準備中)。この結果はアラキドン酸がKv4類を選択的に抑制する可能性を示唆するものである。 大コンダクタンスCa依存性K(BK)チャネルαサブユニットとL型Caチャネルα1サブユニットのmRNA発現量を興奮性の低い大動脈・気管と高い膀胱・精管の各平滑筋間で定量的RT-PCRを用いて比較した。その結果、BKチャネルαサブユニットmRNAは興奮性の高低に関らず高レベルに発現しているが、L型Caチャネルα1サブユニットmRNAは低興奮性平滑筋では高興奮性のものの20%以下であった。これらの結果は単離細胞で測定した最大電流値と対応するため、興奮性の違いをよく説明するものである(投稿準備中)。 11月に今泉と大矢がGiles教授の研究室を訪ね、綿密な研究打ち合わせと単一細胞でのPCR法を研修した。帰国後、関連の実験を行い、3月始めにGiles, Walsh両教授と今泉・村木が北米生物物理学会で会い、再度結果について研究打ち合わせすることになった。そのため1月にGiles教授が来日する予定であったが、教授の希望もあり、取りやめた(Canadian Medical Councilの会合が急遽開催されることになった由)。研究遂行には全く支障が無かった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yoshiaki Uyama et al.: "Inhibition by calponin of isomettic force in demembranated vascular smooth musscle strips : the critical role of serine-175" Biochemical Journal. 319. 551-558 (1996)
-
[Publications] Notihiro Nagano et al.: "Effects of utachidonic acid on A-type potassium eurrents in smoth muscle cells of the quinea pig." Ametican Joutnal of Physiology. 272. (1997)