1996 Fiscal Year Annual Research Report
中国の日本住血吸虫感染抵抗性及び感受性集団を規定する宿主要因の免疫遺伝学的解析
Project/Area Number |
08044316
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
平山 謙二 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60189868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 荘明 東京大学, 医科科学研究所, 教授 (00009622)
張 紹基 中国 江西省寄生虫病研究所, 教授
袁 鴻昌 中国 上海医科大学, 医学部, 教授
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Keywords | 日本住血吸虫 / 集団治療 / HLA-DRB1 / 水接触度 / DNAタイピング / 再感染抵抗性 / 中国 |
Research Abstract |
中国揚子江流域では、依然として日本住血吸虫症の侵淫地が拡がっているが、住民教育、堤防の整備、プラジカンテルによる集団治療などにより、感染率30%以上の重汚染地区は減少しつつある。しかし、流民、水上生活者、および家畜などのコントロールが不十分なため、治療後の再感染者の数は一定以下には低下してゆかない。上海医科大、江西省寄生虫病研では、1992年以来、重汚染地区での集団治療後の住民の疫学調査を行ない、再感染のメカニズムの解明をめざしてきた。その結果、セルカリアの存在する水との接触の軽重により、再感染の率が変化する傾向があること、さらに、たとえ暴露が軽くても再感染する者(感受性群)あるいは、接触量が大きくても再感染しない者(抵抗性群)の存在することが示唆された。そこで、今年度よりこれらの人達の免疫遺伝学的特徴を調べ、再感染に関与する宿主側の要因を明かにすることを目的として研究を行なった。対象としたのは、揚子江の中流に存在する中国で最大の湖である番陽湖に面した。Zhuxi村である。人工200〜300で住民は主に農および漁業に従事している。1992年の感染率は約40%で1993年(3月)、1994年(3月)に集団治療を行なっている。診断は、糞便中の虫卵検査(Kato-Katz法)により行ない、通年にわたる水接触状況を対象者全員について観察調査した。水接触状況は、その頻度および接触指数Index(1日の接触時間)として記録した。ランダムな住民集団として135名の採血を行ない、さらに、再感染群29名、抵抗性群30名の採血を行ない、DNAを抽出し、HLA-DRB1タイピングを施行した。対象数が少なく、統計的な有意差は得られなかったが、HLA-DRB1*1101が抵抗性に傾くことが示唆された。水接触度、および年齢の影響を最大限取り除くことが最も重要であると考えられる。
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