1997 Fiscal Year Annual Research Report
メタロチオネインの生理機能の分子レベルでの解析と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
08044317
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井村 伸正 北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAZO John S ピッツバーグ大学, 医学部, 教授
近藤 幸尋 日本医科大学, 医学部, 講師 (80215467)
永沼 章 東北大学, 薬学部, 教授 (80155952)
姫野 誠一郎 北里大学, 薬学部, 助教授 (20181117)
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Keywords | メタロチオネイン / ノックアウトマウス / 発癌 / 重金属 / 制癌剤 / アポトーシス |
Research Abstract |
1. 日本側において、メタロチオネイン遺伝子欠損マウス(MTKOマウス)、及びその対照となる129SVマウスに、膀胱癌を誘発するN-butyl-N-4-hydroxybutyl nitrosamine(BBN)を飲水から2カ月間摂取させ、MT遺伝子の有無が癌発生率に影響を与えるかどうか検討した。その結果、癌発生率は129/SVマウスで42.9%であったのに対し、MTKOマウスでは72.9%と1.7倍高かった。また、129/SVマウスではBBN投与期間中に亜鉛を連続投与することにより、癌発生率が20%にまで減少したが、MTKOマウスでは癌発生率が変化しなかった。従って、BBNによる化学発癌に対し、メタロチオネインが抑制的に働くことが明らかになった。2. 米国側においてMTKOマウスの胎仔由来初代培養細胞にSV40を感染させることにより不死化した細胞株を得た。日本側でこの細胞を用いて、シスプラチンおよび、Cd耐性細胞を確立した。3種類のMT遺伝子欠損シスプラチン耐性細胞株すべてにおいて、チオレドキシンや核内でのレドックス制御とDNA修復酵素活性を持つRedox Factor-1(Ref-1)レベルが上昇していた。また、MT欠損シスプラチン耐性細胞株でシスプラチンの取り込みが極めて低いことがわかった。一方、MT欠損Cd耐性細胞は、Cdの取込が親株細胞に比べて約10%と非常に低い値を示した。このように、本研究において確立したMT遺伝子欠損マウス由来の細胞株を用いることにより、MT以外のシスプラチン耐性因子、Cd耐性因子、またこれらの薬物の輸送系に関わる因子を見いだすことが可能になった。
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Research Products
(1 results)