1996 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性糖鎖・硫酸化グリコサミノグリカンの生合成のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
08044327
|
Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (60154449)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 智也 東京大学, 農学部(理化学研究所), 教授(主任研究員) (30087572)
ULF Lindahl ウプサラ大学, バイオメディカルセンター, 教授
|
Keywords | グリコサミノグリカン / コンドロイチン硫酸 / ヘパリン / ヘパラン硫酸 / 糖転移酵素 / 硫酸化 |
Research Abstract |
本研究では、硫酸化グリコサミノグリカンのなかでも、特にコンドロイチン硫酸とヘパリン/ヘパラン硫酸との仕分け合成のメカニズムを解明せんとして、タンパク質への結合領域の微細構造の確定された糖鎖を受容体とした酵素学的生合成研究を行い、硫酸化による生合成の調節機構に関する新しい知見を得た。 1.マウス肥満細胞腫のミクロソーム画分を酵素源とし、グリコサミノグリカンのタンパク質への結合領域の合成セリン四糖(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser)を基質の糖受容体、UDP-GalNAcを糖供与体として糖転移酵素活性を調べたところ、GalNAcの転移が見られたがGalNAcはα結合しており、天然のコンドロイチン硫酸におけるようなβ結合はできなかった。この知見は、以前我々がウシ胎児血清を酵素源としたときの結果と同様であった。 2.上記の活性は、GlcAβ-1-3Gal(4-sulfate)β1-3Galβ1-4Xyl β1-O-Serを糖受容体としたときにはまったく検出されず、硫酸基によってこのα GalNAc転移酵素活性は完全に阻害されることが判明した。 3.一方、UDP-GlcNAcを糖供与体としたところ、ヘパリン合成のために必要と考えられるα-GlcNAcの転移酵素活性は検出できなかった。しかし、[GlcAβ1-4GlcNAcα1-4]_2-GlcAβ1-4-aMan六糖を糖受容体としたときには、明らかにGlcNAcの転移酵素活性が検出された。 4.以上の結果は、コンドロイチン硫酸とヘパリン/ヘパラン硫酸の仕分け合成に、まだ調節のための未発見の結合領域の構造または生合成中間体などの要素が関与していることを示唆していると思われる。
|