1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08045021
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 亘 筑波大学, 化学系, 助教授 (30008429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ブラホツィホトフスキー ドミトリ テクニオン, イスラエル工業大学・理学部, 助教授
アペログ イイザック テクニオン, イスラエル工業大学・理学部, 教授
加部 義夫 筑波大学, 化学系, 講師 (40214506)
菊池 修 筑波大学, 化学系, 教授 (30015771)
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Keywords | モノシラシクロプロペニル / シラシクロブタジエン / 分子軌道計算(HF / 3-21G^*) / ジシラベンズバレン / ジシラデュワ-ベンゼン / 熱異性化 |
Research Abstract |
昨年度のジシラアンスラセンの検討に引き続き、ケイ素化合物の芳香族性について検討した。ビスシクロプロペニルの骨格の一原子をケイ素に置き換えたモノシラベンゼン原子価異性体である3,3-モノシラシクロプロペニル(1)の合成を試みた。シクロプロペニル基を有するジクロロシランをビストリメチルアセチレン存在下リチウムと反応させたところ、目的とする(1)は得られず、シラシクロブタジエンを経たと考えられる化合物が得られた。これらの結果を考察するために、ベンゼン、デュワ-ベンゼン、ベンズバレンの三つの異性体について分子軌道計算(HF/3-21G^*)を行なった。ジメチルジシラビスシクロプロペニルについては、フェニル基のものと同様にビスシリランを合成し、ビストリメチルシリルアセチレン溶液中で熱分解することにより合成した。化合物8の熱による異性化反応を試みたところ、フェニル基の場合とは異なりジシラベンズバレンとジシラデュワ-ベンゼンが得られた。ジシラデュワ-ベンゼンはケイ素を骨格に有したデュワ-ベンゼンとしては初めての合成例であり、NMRスペクトルおよび酸素での捕捉反応により同定した。これらの結果をもとにジシラビスシクロプロペニルの熱異性化について考察してみると、ジシラデュワ-ベンゼンがまず生成した後、立体反発がより少ないと考えられるジシラベンズバレンへさらに異性化する経路と、デュワ-ベンゼンとジシラベンズバレンが同時に生成する経路の二つの可能性が考えられる。 ジメチルジシラビスシクロプロペニルとAg^+との反応においてはジシラベンズバレンは生成せず、低収率ながらも主生成物としてジシラデュワ-ベンゼンが得られることがわかった。 以上の結果から、ベンゼンの骨格にケイ素を導入した場合には異性化反応によってベンゼンは得られず、芳香族性による安定化が減少していることが示された。今後は、ジシラデュワ-ベンゼンからジシラベンゼンへの可能性について検討している。
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[Publications] K. Hatano, K. Morihashi, O. Kikuchi and W. Ando: "Lithium-Bridged Bis (silyl anion) of 9, 10-Dimethyl-disilaathracene" Chem. Lett.293-294 (1996)
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[Publications] W. Ando, T. Shiba, T. Hidaka, K. Morihashi and O. Kikuchi: "Syntheses and Characterization of Bis (silacyclopropen) and Disilabenzvalene" J. A. C. S.119, 15. 3629-3630 (1997)