1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08045070
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KELSEY K.T ハーバード大学, 公衆衛生大学院, 教授
CHRISTIANI D ハーバード大学, 公衆衛生大学院, 教授
山内 泰子 帝京大学, 医学部, 助手 (40246038)
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Keywords | 石綿 / 珪酸塩粉塵 / 炭鉱夫肺 / 呼吸機能 / 喫煙 / 活性酸素 / 選択バイアス |
Research Abstract |
まず、珪酸塩粉塵と石綿による呼吸機能障害、および石綿と喫煙の相互作用について、予備的な研究を行い、それぞれInd Health誌に発表した。また疫学調査で粉塵曝露による呼吸機能障害を、特に珪酸塩、石綿、炭鉱粉塵間で比較して調べた。この研究により、珪酸塩粉塵による呼吸器障害や炭塵は、通常考えられているより強い健康影響を示すこと。呼吸機能が早期の障害の指標になること。石綿による呼吸器障害のパターンとして拘束性障害はよく知られているが、small airwayの閉塞性障害も起し、それは一部で主張されていたような、喫煙の影響ではないこと等が明らかになり、この結果はAm J Ind Med誌で印刷中である。 次に、大気汚染の健康影響についての疫学調査における選択バイアスを実証した。すなわち、住民に呼吸機能調査を行い、15年後に再調査を行ったところ、始めの呼吸機能が低かったものの方が、15年間の死亡率が高く、また生存者でも再検査の受診率が低かった。従って、長期の追跡調査でデータが得られるものだけで解析を行うと、呼吸機能の良いものが選択的に選ばれ、例えば粉塵の呼吸機能への影響を過小評価することになる可能性を示した。 更に石綿粉塵の中でももっとも発がん性の強いクロシドライト石綿が、呼吸器の中の細胞などと反応して組織損傷を起す活性酸素が産生されるメカニズムを検討した。本研究により、呼吸器内の細胞の例として用いた多核白血球がクロシドライトの刺激により産生する活性酸素の産生の場が明らかになった。すなわち、活性酸素の産生には細胞表面における産生と、貧食された結果細胞内で産生される場合の両者があることが、3種の阻害剤を用いて反応が抑制されることを観察して示した。 この他、非喫煙石綿作業者の呼吸機能を調査し、石綿が喫煙の影響なしに閉塞性呼吸機能障害を起こしうるか否かについて、現在解析を進めている。
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[Publications] Wang XR,Yano E,et.al.: "Respiratory impairments due to exposure to dusts : A comparative study among the workers exposed to silica,asbestos and coal dust." Am J Ind Med.(in press).
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[Publications] Wang XR,Yano E,et.al.,: "Effects of smoking on respiratory function and exercise performance in asbestos workers." Industrial Health.33. 173-180 (1995)
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[Publications] Wang XR,Yano E,et.al.,: "Dyspnea and exercise testing in workers exposed to silica." Industrial Health.33. 163-171 (1995)