1996 Fiscal Year Annual Research Report
前近代東南アジア史における「中心一周辺」関係の類型化
Project/Area Number |
08203105
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
八尾 隆生 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50212270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 助教授 (50183942)
桃木 至朗 大阪大学, 文学部, 助教授 (40182183)
深見 純生 桃山学院大学, 文学部, 助教授 (40144555)
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Keywords | 嶺外代答 / 諸蕃志 / 石鍋 / ヤコウ貝 / チャンパ / 歴代宝案 / 嘱書 / 土酋 |
Research Abstract |
深見『嶺外代答』は、「広域物流センター」とでも言うべき「都会」という概念を用いて海外諸国の構造を理解している。『諸蕃志』もこの概念を継承しており、東南アジアに7つの中心を認めている。この7つを中心として構成される東南アジア海域世界のネットワークと、具体的な交易品の構成や流通との関係を『諸蕃志』に則して検討した。 真栄平 10-12世紀頃の交易品として九州から奄美・琉球諸島までも広く流通した「石鍋」の研究により、それまで異文化圏であった北琉球圏と南琉球圏が一つの経済圏に統合されたことを指摘した。また、琉球近海で採れる海産資源が、日本・中国・朝鮮など各地へ運ばれ、「貝の道」とよばれる海の交易ネットワークが存在したことを指摘した。 桃木 東南アジア史の中のベトナム史・チャンパ史の位置について学説・史料整理を行った。まず、かつて行った10-15世紀を中心とする交易史研究から、明代前期の朝貢貿易体制のもとでの北部ベトナム国家の交易の地位を再検討した。また、農業と国家との関係で、土地制度や村落共同体、農法などにくらべ検討の遅れている労働力編成、標準経営面積の変遷、国家による租税・賦役の收取、分配の方法などを検討しつつある。 八尾 前年度に考察した、ベトナム北部の少数民族首長(官郎)の子孫に伝わる15世紀の嘱書と、同じ村の上級首長(土酋)の15世紀嘱書について比較・考察を行った。その結果、土酋は官郎を束ね、中央から派遣されたヴェト人地方官僚と直接接触する立場から、官郎より一層、中央政権の「掌握の論理」と地方社会の「独自性の論理」との板挟みに陥り、そのすりあわせに苦労し、それがこの嘱書にも反映されていることを指摘した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 八尾隆生: "黎朝聖宗期の嘉興丁氏-嘱書の分析から-" 東洋学報. 78-2. 01-027 (1996)
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[Publications] 深見純生: "(訳)オランダ領東インドにおける印欧人の運動" 桃山学院大学・総合研究所紀要. 22-1. 55-81 (1996)
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[Publications] 深見純生: "1913年のインドネシア-東インド党指導者国外追放の社会的背景-" 東南アジア研究. 34-1. 35-56 (1996)
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[Publications] 桃木至朗: "南から見た明清史-ベトナム経済史の場合-" 森正夫(編)『明清時代史の基本問題』. 汲古書院(近刊). (1997)
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[Publications] 真栄平房昭: "琉球王国における海産物貿易" 歴史学研究. 691. 15-24 (1996)
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[Publications] 真栄平房昭: "砂糖をめぐる生産・流通・貿易史" 砂糖善之(編)『新しい近世史』3 新人物. 往来社. 349-387 (1996)
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[Publications] 桃木至朗: "歴史世界としての東南アジア" 山川出版社, 90 (1996)