1996 Fiscal Year Annual Research Report
無限可積分系のタウ関数によるBCH-Goppa符号の復号化アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
08211106
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 佳正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50172458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 芳秀 同志社大学, 工学部, 教授 (50127742)
広田 良吾 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00066599)
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Keywords | 可積分系 / タウ関数 / BCH-Goppa符号 / 復号法 / Steffensenの反復法 |
Research Abstract |
研究代表者は平成8年10月に大阪大学において可積分系戸田分子のタウ関数によるBCH-Goppa復号法を主題とした研究集会「応用数学における非線形可積分系の視点」を開催した.同7月には京都大学にて研究集会"Discretizations of Integrable Systems:Theory and Applications"を開催協力し,この科研費から講演者の旅費の一部を援助した.また,研究代表者は国内外で合計15回に及ぶ学会・研究集会講演を行うとともに,学生大学院生の補助を得て数値計算実験を継続した.以上がこの研究課題に関する研究活動の概要である.その結果,平成8年度には次の二つの進展があった. 1 可積分系の通信理論への応用に取り組み,研究代表者が1994年に開発した有限体上の戸田分子に基づくBCH-Goppa符号の復号化アルゴリズムによって,任意のシンドロームからエラーの位置を計算できることがわかった.エラーの位置は成分がタウ関数の比で表される3重対角行列の固有値として実現され,タウ関数の正値性がこの復号法のポイントになっている.なお,3重対角行列の固有値計算による復号法としては他にもFaybusovich(1994年),代田(1995年)があるが,両者については復号化できないシンドロームの例が見つかった. 2 非線形方程式の解を計算する反復解法にSteffensen法がある.この手法による反復列は解に2次収束し,広く使われているNewton法の離散版とみなせる.このSteffensenの反復法の拡張に成功した.ポイントは反復関数の定義に数列の加速法であるk次Shanks変換を用いることである.その結果,新しい反復解法は少なくともk+1次の収束次数を達成している。Shanks変換の計算では,ε-アルゴリズムの援用により行列式の直接的な計算を避けることで,計算量が大幅に低減された.また,新しい反復解法の局所的収束性と数値安定性も証明された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Nakamura: "The BCH-Goppa decoding as a moment problem and a tau function over finite fields." Physics Letters A. 223巻・1号. 75-81 (1996)
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[Publications] Y.Nakamura,L.Faybusovich: "On explicitly solvable gradient systems of Moser-Karmarkar type" Journal of Mathematical Analysis and Applications. 205巻・1号. 88-106 (1997)
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[Publications] Y.Nakamura: "Jacobi algorithm for symmetric eigenvalue problem and integrable gradient system of Lax form" Japan Journal of Industrial and Applied mathematics. 14巻・2号. (1997)