1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08217212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斎藤 基彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80012441)
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Keywords | ウィグナー結晶 / 交流電気伝導 / 量子位相 |
Research Abstract |
最近Si-MOSFETの系で外部磁場を加えなくても電子密度を適当にとればWigner結晶が生成できる事がPudalovらによって実験的に示された。本研究ではこのような半導体MOS構造の界面に生成される準2次元的電子がWigner結晶を作った時の電子伝導度を理論的に解析し実験と比較した。電子の散乱体として界面のラフネスまたはイオン化した不純物を考えた。この時Wigner結晶中のフォノンは散乱のために波数0の点でエネルギー・ギャップが生じ、不純物の存在に敏感な電気伝導に顕著な影響を与える。このエネルギー・ギャップを定めるために、Wignerフォノンの分散を自己無撞着調和近似を用いて解いた。自己無撞着調和近似においてはフォノンの分散は電子の密度相関関数の汎関数で表わされるが、この密度相関関数は時間と空間に依存した動的なDebye-Waller因子に依存し、またDebye-Waller因子はフォノンの分散に依存する。このような意味で密度相関関数およびフォノンの分散が自己無撞着に定まる。得られたフォノンの分散関係より伝導度を計算すると、絶対零度では直流の線形伝導は消失し、またあるしきい電場以上で非線型伝導が期待される。有限温度ではArrhenius型より若干ずれた型の伝導を示す。交流伝導度はエネルギー・ギャップに対応する有限周波数より始まりフォノンのバンド幅程度の範囲で有限となる。この幅はWignerフォノンの位相の乱れが原因で生ずる。しかしながら得られたギャップの濃度依存性は実験と定性的に異なり、更に検討が必要である事が判明した。
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Research Products
(1 results)