1996 Fiscal Year Annual Research Report
配向膜で規定された液晶系での拡散と異方的光化学反応ダイナミックスの解明
Project/Area Number |
08218230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00188674)
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Keywords | 液晶 / 配向 / 拡散 / 過液回折格子 / 界面 |
Research Abstract |
液晶分子は光と強く相互作用するため非線形光学効果を利用した多くの応用が開発され、また実用化されている。しかし、大きい非線形光学効果が見られる原因や、液晶分子と固体との相互作用、特に界面に置ける動的挙動は、ほとんどわかっていないのが現状である。ここでは、過渡回折格子法を用いて、液晶分子と固体との界面でのダイナミックスを明らかにすること、またその非線形光学効果の原因を明らかにすることを目的とした。以下のような成果を得た。 1、分子励起後の非線形光学応答の大きさ及びその時間変化は、液晶分子軸に対する偏光方向に大きく依存すること、またこの依存性は温度に敏感であること等がわかった。 2、こうした現象を理論的に解析したところ、その大きい非線形性には(a)密度変化の寄与、(b)分子配列の寄与が存在することが明らかとなった。それらの寄与の大きさを定量し、各寄与の現われる応答時間に大きな差がある(密度の寄与は10ピコ秒以内、配向の寄与は5ナノ秒程度(室温))ことを明らかにすることにも成功した。 3、プローブ光をTIR条件下で試料に入射し、界面付近での分子運動を検出することに成功した。 4、界面からの化学種グレーティング信号も検出でき、その速度はバルクからのものよりも速いことがわかった。50nm付近での拡散係数はバルクとあまり変わらず、シス-トランス異性化が増大していることを示している。また、界面付近では固体との相互作用のため、拡散が遅くなることが予想されていたが、実際はほとんど変化しないこと、界面では特異な逆異性化反応が起こっていることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Terazima: "Refractive index change by photothermal effect with a constant density detected as temperature grating in various fluids." Journal of Chemical Physics. 104. 4988-4998 (1996)
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[Publications] M.Terazima: "Translational diffusion of a carbene and radicals derived from carbene." Journal of Chemical Society,Faraday Transaction. 92. 2361-2368 (1996)
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[Publications] M.Terazima: "A transient grating detection method of circular dichroism." Molecular Physics. 88. 1223-1236 (1996)
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[Publications] M.Terazima: "Order parameter and density effects in the third order nonlinear optical properties of liquid crystals." Bulletain Chemical Society of Japan. 69. 1881-1887 (1996)
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[Publications] M.Takezaki: "Excited state dynamics of 9,10-diazaphenanthrene studied by the time-resolved transient grating method." Journal of Chemical Physics. 100. 10015-10020 (1996)
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[Publications] M.Terazima: "Ultrafast rise of translational temperature after photoexcitation to electronic excited state in solution : Transient lens study of Ni^<2+> aqueous solution." Journal of Chemical Physics. 105. 6587-6595 (1996)