1996 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性高分子ゲルを用いた光反応ダイナミックスの精密制御
Project/Area Number |
08218245
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三澤 弘明 徳島大学, 工学部, 教授 (30253230)
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Keywords | 刺激応答性高分子ゲル / マイクロゲル / 近赤外レーザー光 / 放射圧 / 光圧 / 相転移 |
Research Abstract |
本研究においては、近赤外レーザー光(1064nm)の照射によりレーザー誘起相転移を示すマイクロメートルサイズのポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)ゲルおよびその共重合体ゲルを光反応制御のための環境場として用い、その親水・疎水的環境や、物質透過性を近赤外レーザー光によって制御し、そこで生起する光反応ダイナミックスを精密に制御する方式を確立することを目的としている。平成8年度は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)より相転移温度が高いことが知られているN-イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合体(NIPAM-SA)ゲルを重水中で光圧モードにより相転移させることを試みるとともに、近赤外レーザー光照射による重水の温度の変化を蛍光プローブを用いて検証することを試みた。 ロッド状のNIPAM-SAマイクロゲルを作製し、重水中で1064nmの近赤外レーザー光を照射したところ、64℃においてゲルの収縮が観測された。NIPAM-SAゲルの体積収縮は80℃であることが報告されており18℃の相転移温度の低下が観測された。一方、このレーザー照射にり重水を含む実験系の温度がどのように変化するかを1-ピレンスルホン酸ナトリウム(SSP)をプローブとして用いて検討した。まず、SSP重水溶液の蛍光スペクトルを20〜55℃の範囲で測定したところ、温度上昇に伴いSSPのエキシマー形成量が減少することが明らかになった。同様の蛍光スペクトルを顕微鏡下、1064nmのレーザー光を照射しながら測定したところ、スペクトル変化はほとんど見られなかった。これよりレーザー照射に伴う温度変化は1℃以下であることが示唆された。これらの実験から、PNIPAMおよびNIPAM-SAゲル、いずれの場合も1064nmのレーザー光照射による体積相転移温度の低下は光熱モードではなく光圧モードによるものであると結論した。
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Research Products
(1 results)