1996 Fiscal Year Annual Research Report
部位特異的脱硫酸化による硫酸化多糖の超分子形成機能の変換
Project/Area Number |
08219228
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原 三郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (00028193)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 良 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教務職員 (40163232)
|
Keywords | 硫酸化多糖 / ヘパリン / 脱硫酸化 / 硫酸化 / 部位特異性 / 超分子形成 |
Research Abstract |
シリル化試薬であるN-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(MTSTFA)を用いることによりグリコサミノグリカンの6位硫酸基を位置特異的にかつ効率よく脱離する反応を前年度までに開発してきた。今年度はこの方法によって得られた6-O-脱硫酸化ヘパリンおよび既知の方法で得られる2-O-脱硫酸ヘパリンとN-脱硫酸化ヘパリンを用い、神経細胞などの成長・分化に重要な役割を果たしているミッドカインがヘパリンと相互作用する際に必要なヘパリン側の構造を明らかにしようとした。その結果、ミッドカインがヘパリンと結合してその活性を発揮し、さらに構造安定化されるには2-O-、6-OおよびN-硫酸基がいずれも必要であるが、とりわけN-硫酸基が大きな役割を果たしていることがわかった。 さらに各種の位置特異的な脱硫酸化法や硫酸化法を組み合わせて任意の位置に硫酸基を結合した各種のヘパリン(6-O-脱硫酸化、2-O-脱硫酸化、N-脱硫酸化、2,6-O-脱硫酸化、6-O-,N-脱硫酸化、2-O-,N-脱硫安化、完全脱硫酸化、6-O-硫酸化)を作成し、それらと血漿中および脳細胞内の各種タンパク質との相互作用を明らかにしようとした。ウシ血漿中よりヘパリン結合性の数種のタンパク質を同定し、そのうちハプトグロビンが6-O-,N-硫酸化(2-O-脱硫酸化)ヘパリンと相互作用することを見いだした。これよりこの相互作用には6位およびN位の硫酸基が必要であることがわかった。また、ウシ脳組織のヘパリン結合性タンパク質のうち、フルクトースジリン酸アルドラーゼが6-O-硫酸化(2-O-,N-脱硫酸化)ヘパリンと親和性を示した。これより同酵素とヘパリンの相互作用には6位の硫酸基が関与しているものと考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Norio Kaneda: "Structural Characteristics of Heparin-like Domain Required for Interaction of Midkine with Embryonic Neurons" Biochemical and Biophysical Research Communication. 220. 108-112 (1996)
-
[Publications] Yasumasa Matsuda: "Limited Proteolysis by Chymotrypsin of Midkine and Inhibition by Heparin Binding" Biochemical and Biophysical Research Communication. 228. 176-181 (1996)
-
[Publications] Ryo Takano: "Sulfation of Polysaccharides with Sulfuric Acid Mediated by Dicyclohexylcarbodiimide" Journal of Carbohydrate Chemistry. 15(4). 449-457 (1996)
-
[Publications] Ryo Takano: "Structure of a Water-soluble Polysaccharide Sulfate from the Red Seaweed Joculator maximus Manza" Botanca Marina. 39. 95-102 (1996)