1996 Fiscal Year Annual Research Report
大環状ポリアミン希土類錯体による生体関連分子の認識および変換
Project/Area Number |
08220108
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
塩谷 光彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (60187333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 透 広島大学, 医学部, 助教授 (90186586)
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Keywords | 大環状ポリアミン / 希土類錯体 / 生体分子 / 核酸 / 分子認識 / グアニン塩基 / 蛍光性金属錯体 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
本研究では、大環状配位子の特性を生かして、希土類イオンの配位環境を制御し、生体分子に対して重要な機能(認識・化学変換能、薬理活性)を付与することを目的とした。テルビウムイオンは、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと相互作用して蛍光強度の増大を示す。その蛍光強度はグアニン塩基を多く含む核酸に対して最も大きくなることが知られているが、その選択性は高くない。本研究では、新規のN_3O型12員環配位子およびこれのテルビウム錯体を合成し、そのX線結晶構造、pH滴定方による水溶液中での錯安定性などを明らかにした。また、核酸との相互作用を分光学的に調べた。その結果、アミドペンダントをもち、全体として3価の正電荷をもつN_3O型錯体の278nmで励起したときの蛍光強度は、poly(G)と共存するときのみ著しく増大することを見い出した。そこで、poly(A)、poly(U)、poly(C)、poly(G)の存在下、蛍光の極大波長(545nm)における励起スペクトルを測定した結果、いずれの場合も、核酸塩基が吸収した光エネルギーが、Tb^<III>イオンへ移動し、その結果蛍光を発することが強く示唆された。その程度は、蛍光量子収率の相対比を反映するものであった。現在、グアニン塩基を多く含むオリゴヌクレオチド(例えば、テロメアDNAに見られる(TTAGGG)_4や(TTGGGG)_4など)と本錯体との相互作用について、種々の分光学的手法(IR、CD、NMR、UV-vis、蛍光)により調べ、これらの溶液中での結合様式や結合の強さを検討中である。
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