1996 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解ESRによる希土類架橋二量体励起状態の面間相互作用
Project/Area Number |
08220206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山内 清語 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (10127152)
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Keywords | ポルフィリン二量体 / フタロシアニン二量体 / 面間相互作用 / 励起三重項状態 / 時間分解ESR / 金属フラーレン |
Research Abstract |
我々は本重点領域研究により、電子スピン共鳴(ESR)パラメータを用いて励起多量体における単量体ユニット間の相互作用を定量的に評価する方法を開発した。過去3年間、この方法をポルフィリン(OEP)とフタロシアニン(Pc)多量体に適用して、その定量的解析を行ってきた。今年度は、これまで理論計算で求めていた唯一のパラメータ、電化共鳴(CR)状態のゼロ磁場分裂を実験的に求め方法の開発とその測定を行うことを第一の目的とした。また、希土類架橋二量体のデータを増やすことによって、我々の方法の妥当性をさらに確実にすることを目指した。これらの研究目標に対して、次のような結果が得られた。 1)通常の希土類架橋二量体では純粋なCR状態は実現できないが、それらの2電子酸化および還元状態の励起状態は純粋なCR状態であることがわかった。 2)可視吸収スペクトルから、Lu (Pc)_2^-は、AgClO_4でほぼ完全に2電子酸化されLu (Pc)_2^+になることがわかった。 3)時間分解ESRスペクトルの解析から、Lu (Pc)_2^+のゼロ磁場分裂定数Dは、D=-0.26GHzと励起子(EX)状態のDとは符号が反対であることがわかった。これは大きさを含めて理論的に予想される結果と一致しており、いままでの我々の解析の正しさが実証された。 4)希土類架橋ポルフィリン(Y (OEP)_2^+についても同様な結果が得られた。 5)フタロシアニン二量体のシリーズに新たにLa (Pc)_2^-のデータを加えることで、我々の解析の信頼性を高めることができた。
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[Publications] K. Ishii: "Studies on Monomers and Dimers of Y (III) and La (III) Porphyrin Complexes by means of Time-Resolved Electron Paramagnetic Resonance" J. Phys. Chem.100. 3839-3846 (1996)
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[Publications] N. Okabe: "Electron Spin Relaxation Stdies of La@C_<82> in the Solid State by EPR" Appl. Magn. Reson.10. 251-262 (1996)
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[Publications] M. Q. Ehsan: "EPR and ENDOR Study of Trigonal Bipyramidal Copper Complexes with Nitrogen Donor Tripoda Ligand" Bull. Chem. Soc. Jpn.69. 2201-2209 (1996)
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[Publications] R. Satoh et: "Photoinduced Electron Transfer from Zinc Myoglobin to Benzoqinone Studied by Fourier Transform EPR" J. Chem. Soc. , Faraday Transactions. (印刷中).