1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08220212
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
薬袋 佳孝 武蔵大学, 人文学部, 教授 (10157563)
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Keywords | メスバウアー分光法 / 蛍光寿命測定 / ユウロピウム / 水和数 / 酸化還元 / 熱分解 / ポリカルボン酸 / イオン交換樹脂 |
Research Abstract |
Eu-151メスバウアー分光法やレーザー励起蛍光寿命測定などの手法をユウロピウム化合物の反応や構造解析に適用した。主に、(1)レーザー励起蛍光分光法による溶液中のユウロピウム(III)の結合構造解析、(2)シュウ酸ユウロピウム(III)及びガトリニウム(III)混晶の熱分解、(3)ユウロピウム(III)クリプタンド錯体及びクラウンエーテル錯体の溶液中または凍結溶液中での光反応などについて、成果を得た。 (1)レーザー励起蛍光寿命測定から溶液中のユウロピウム(III)の水和数に関する情報が得られる。ユウロピウム(III)ポリカルボン酸錯体、並びに、イオン交換樹脂上に吸着したユウロピウム(III)について水和構造を推定した。ポリカルボン酸の種類、pH、支持電解質濃度を系統的に変え、ユウロピウム(III)の残存水和数の変化を調べた。溶液内の高分子錯体のコンフォメーション変化が残存和水数の変化に良く対応していることが明らかとなった。強酸性イオン交換樹脂と弱酸性イオン交換樹脂の場合とで残存和水数のpH変化を比較すると、大きな相違が見い出された。これは熱力学的データとも良く対応するものであり、微量のユウロピウム(III)について、溶液または固液界面での存在状態に関する詳細な情報が得られた。(2)Eu-151メスバウアー分光法を用いて、シュウ酸ユウロピウム(III)のランタン(III)との混晶系を対象に、光または熱により進行する反応を追跡した。ガドリニウム(III)との混晶とは、ユウロピウム(II)の生成量が大きく異なることが示された。これは、光照射により生成したラジカル量の相違関与しているものとみられる。(3)ユウロピウム(III)クリプタンド錯体及びクラウンエーテルdq錯体の光反応について、ユウロピウム(II)が生じる割合と照射時間との関係などを検討した。これらのデータから光誘起反応の機構を詳細に解明した。
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Research Products
(1 results)