1996 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフタロシアニナト希土類錯体の電子状態の電気化学・分光学的研究
Project/Area Number |
08220216
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳田 耕一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40016548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 房男 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (00224973)
大坂 武男 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (80152099)
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Keywords | 希土類 / フタロシアニナト錯体 / ESR / 電子状態 |
Research Abstract |
1.サンドイッチ構造をもつ希土類ビスフタロシアニナト錯体[LnPc_2]^z(ここでLnはランタノイドを,Pcはフタロシアニン(C_<32>N_8H_<16>)を,またzは電荷数を表す)はz=-4から+2までの酸化状態をもち、それぞれ異なる色を示す。そのうち[LuPc_2]^-は青色,緑色溶液を与える。ルテチウム錯体[LnPc_2]^0はg=2.0010のESR信号を示すことからこの錯体が中性であり[Lu(3+)Pc(2-)Pc(-)]^0と表せることが解っていたが,中心金属がLu^<3+>以外の場合には有機ラジカルに対応するESR信号が観測されたという報告はなかった。本研究で一連の[LnPc_2]^-と[LnPc_2]^0のo-ジクロルベンゼン溶液のESRスペクトルを測定した。常温で信号が得られたのは[LuPc_2]^0のみであったが,-150℃において[LnPc_2]^0ではLn=Eu,Sm,Gdのとき,[LnPc_2]^-ではLn=GdのときESR信号が得られが,Nd,Ho,Ybではz=0とz=-1のいずれでも観測されなかった。このうち[EuPc_2]^0の信号はLuのものより線幅が広いがg=2.0669ま有機ラジカルのものである。Sm,Gdの信号は複雑な形状で簡単には解釈できない。Ce^<3+>からYb^<3+>までは何れも中心金属が4f電子により常磁性であるので有機ラジカルのスピンとの相互作用により,信号強度が弱められているため有機ラジカルの信号は観測されないが,Eu^<3+>の有機磁子数が0でわるためこの場合に限って観測されたと推定される。 2.微量酸素と[LnPc_2]^-との反応については,既に行った測定結果の検証であった。 3.[EuPc_2]NBu_4の単結晶が得られたが,X線結晶構造解析に用いるには小さすぎ,解析は行えなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Koike: "Relation ship between the Skew Angle and Interplanar Distane in Four Bin(phthalocyanlnato)-lanthanide(III) Tetra butylammoxinm Salts" Inorg.Chem.35・20. 5798-58-4 (1996)
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[Publications] 徳田耕一: "ランタノイドビスフタロシアニナト錯体の電気化学的・分光学的特性" 希土類. 29. 29-40 (1996)