1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08220217
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 武 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016717)
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Keywords | 希土類触媒 / Eu触媒 / 不斉アルドール反応 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ランタニド錯体M(fod)_3とM(dppm)_3(M=Eu,Pr,Hf,…)を触媒に用いて、アルドール反応、Michael付加反応、シアノシリル化反応などの有機合成反応の立体化学を検討し、希土類錯体触媒の特有の立体化学制御能を明らかにすることにある。 本年度は、以下の2点について検討した。(1)Eu錯体を触媒に用いて、光学活性α-アミノアルデヒドとケテンシリルアセタールとの不斉アルドール反応の立体化学を精査し、Eu触媒がアルデヒドの保護基の違いをいかに認識して、いかなる立体化学のアルドール生成物を与えるかを検討した。statine誘導体を与える不斉アルドール反応を検討した結果、予想通り、生成物のジアステレオ選択性は、N上の保護基P^1,P^2に依存し、P^1,P^2=Bnではanti体が、P^1=Boc,P^2=Hでは、望むsyn体が主生成物として得られた。ここでみられた立体選択性の保護基依存性は、Eu触媒とアルデヒドとの配位様式の違いによって合理的に説明できる。また、ACMPの前駆体を与える不斉アルドール反応はひ比較的高いジアステレオ面選択性とともに、比較的高い単純ジアステレオ選択性が見られ、望む(3,4-syn,2,3-anti)体が高選択的に得られ、反応が主にchelation-synperiplanar型で進行するという予想と一致した。(2)α,β-不飽和ケトンと飽和ケトン間のケテンシリルアセタールとの競争的Eu触媒反応における分子認識について精査した。すなわちEu触媒下におけるα,β-エノンとケトン間の競争反応を行い、Eu触媒の特異な分子認識能を検討した。その結果、いずれの場合も、Eu触媒はα,β-エノンを優先的に活性化し、その付加体を高選択的に与えることを見出した。環状エノンで得られた付加体は、Michael付加体のみであったのに対して、鎖状エノンでは、アルドール付加体も副生し、そのアルドール反応性は飽和ケトンのそれよりもむしろ高いという興味ある結果が得られた。これらの結果は、Eu触媒の分子認識能の高さを示している。また、これらの現象はLIS^<13>CNMR分析による配位の度合とよく一致することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)