1996 Fiscal Year Annual Research Report
希土類錯体からのイットリウム族希土類リン酸塩の合成と物性
Project/Area Number |
08220232
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
引地 康夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10024275)
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Keywords | イットリウム族 / リン酸塩 / 錯体 / 粉末合成 / 焼結 / ラブドフェン / ゼノタイム / 物性 |
Research Abstract |
1.研究目的:本研究は、クエン酸錯体法によるイットリウム族希土類リン酸塩微粉末の調製方法、微粉末を用いた焼結体の作製と材料物性(熱的、機械的、化学的、電気的性質)、の解明を目的として行なった。 2.研究成果:希釈希土類硝酸塩水溶液(R=Y、Er、YbおよびLu)に所定量のクエン酸を添加し2時間かき混ぜた。得られた透明な希土類錯体水溶液に希釈リン酸水溶液をモル比(R/P)が4となるように添加し2時間かき混ぜた。室温では希土類錯体が安定なので沈殿を生じなかった。この混合溶液を密栓付き三角フラスコに移し、90℃で保持した。90℃の温度で希土類錯体が熱的に不安定となり、徐々に希土類元素とリン酸とが反応し、沈殿の生成が認められるようになった。得られた沈殿は、RPO_4・nH_2O組成のものであり、チャーチアイト(n=2)、ラブドフェン(n=0.5-1)、ゼノタイム(n=0)の3種類が得られた。文献によれば、希土類リン酸塩はセリウム族希土からはラブドフェン(n=0.5-1)とモナズ石(n=0)、イットリウム族希土からはチャーチアイト(n=2)とゼノタイム(n=0)であり、イットリウム族希土からラブドフェンが合成あるいは天然で発見された例は無い。本研究で初めて、R=Y、Er〜Luからなるニューラブドフェンが得られた。得られたイットリウム族希土からなるチャーチアイトおよびニューラブドフェンは空気中で焼成するとゼノタイムに変わった。ニューラブドフェンは微粉末であったので、これを成形し空気中で1500〜1700℃で焼成すると緻密なセラミックスが得られた。セラミックスはゼノタイム型RPO_4(R=Y、Er〜Lu)からなっており、融点は2000℃前後、熱膨張係数は6〜7×10^<-6>/℃、曲げ強度は100〜180MPa、ヤング率は145〜117GPa、ポアッソン比は0.28〜0.31、熱伝導率はZrO_<21>セラミックスと同程度であった。ゼノタイム型希土類リン酸塩は難焼結性といわれ、焼結体の物性は明らかではなかった。本研究により、ゼノタイム型希土類リン酸塩セラミックスが高融点、高強度、中熱膨張係数、高断熱性セラミックスであることが初めて明らかになった。
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Research Products
(1 results)