1996 Fiscal Year Annual Research Report
希土類トリフラートによる有機官能基の活性化と新規な有機合成反応の開拓
Project/Area Number |
08220260
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
福澤 信一 中央大学, 理工学部, 助教授 (50173331)
|
Keywords | 希土類トリフラート / スカンジウムトリフラート / Lewis酸 / Friedel-Crafts反応 / アセタール |
Research Abstract |
本年度の研究において,希土類トリフラートをルイス酸触媒として用いる有機官能基の活性化を目的とし以下に示す新規な炭素-炭素結合生成反応の開発に成功した.すなわち,1)アルデヒドの活性化による簡便な光学活性アセタールの合成と連続するアセタール基の求核的な立体選択的開環反応,2)アルコールまたはアルデヒドの活性化による芳香族Friedel-Crafts型反応に関し成果を収めた. 触媒量のスカンジウム(III)トリフラート[Sc(OTf)_3]存在下,アルデヒドと光学活性1,2-または1,3-ジオールとから光学活性アセタールを合成し,同一反応容器中で有機ケイ素反応剤を作用させることにより,最高90%のジアステレオマ-選択性で環化生成物を得ることに成功した.この反応の特長は,アセタールの生成にともなって水が副生しても触媒Sc(OTf)_3がルイス酸活性を失わずにアセタールを効果的に活性化し,温和な条件下で炭素-炭素結合形成反応を実現している点にある. アルデヒドをアルキル化剤とする芳香族化合物のFriedel-Crafts反応は古くから知られているが,大過剰の反応剤が必要であったり,複雑な生成物が生じるなど問題が多い.筆者は,この反応が1,3-プロパンジオール共存下,Sc(OTf)_3を触媒として用いると円滑に進行し,ジアリールメタン誘導体が唯一選択的に生成することをみつけた.芳香族アセタールを出発物として用いても同様に反応するので,アセタールが中間体出あると考えている.筆者が今回見つけた還元的Friedel-Crafts反応は,Sc(OTf)_3が触媒量ですむばかりでなく,1,3-プロパンジオールが水素供給源として働いている点が特長的である.ベンジルアルコールやアリルアルコールをアルキル化剤として用いてもFriedel-Crafts反応は進行し,対応するジアリールメタンおよびアリルベンゼン誘導体が高収率で得られた.これまでこの種の反応には,化学量論量以上のルイス酸が必要であったが,Sc(OTf)_3を用いれば触媒量ですむ点が大きな特長である.
|
-
[Publications] T.Tsuchimoto,K.Tobita,T.Hivama,S.Fukuzawa: "Scandium(III) Triflate Catalyzed Friedel-Crafts Alykylation with Benzyl and Allyl Alcohols" Synlett. 6. 557-559 (1996)
-
[Publications] T.Tsuchimoto,T.Hiyama S.Fukuzawa: "Scandium (III) trifluoromethanesulfonate-catalysed reductive Friedel-Crafts benzylation of aromatic compounds using arenecarbaldehydes and propane-1,3-diol" J.Chem.Soc.Chem.Commun.2345-2346 (1996)
-
[Publications] S.Fukuzawa,K.Mutoh,T.Tsuchimoto,T.Hiyama: "Samarium(II) Triflate as a New Reagent for the Grignard-Type Carbonyl Addition Reaction" J.Org.Chem.61. 5400-5405 (1996)