1996 Fiscal Year Annual Research Report
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08220261
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
長谷川 佑子 東京理科大学, 理学部, 教授 (20084303)
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Keywords | 付加錯体 / 熱力学的パラメータ / 溶媒抽出 / エンタルピー変化 / 水和数 / 安息香酸付加錯体 / 希土類錯体 / ランタノイド(III) |
Research Abstract |
1.配位子や有機溶媒が変わるとランタノイド系列における錯体の安定度の変化の傾向がいろいろに変わる。この原因を熱力学的手法を用いて詳細に調べることを目的とした。 2.1)TTA(1-(2-チエニル)-4,4,4-トリフルオロ-1,3-ブタンジオン)と作るキレートにさらにアクリジン(1座のアミン)や1,10-フェナントロリン(2座のアミン:phen)が付加した錯体の安定度がLaからLuまでどのように変化するかを調べた。2)ランタノイド(III)のTTAキレートおよびこれに安息香酸が付加した錯体の水和数の変化を各化学種がクロロホルムへ抽出されたとき一緒に抽出される水の量をカ-ルフィッシャー電量滴定法で測定して求めた。3)安息香酸とトロオクチルホスフィンオキシドのユウロピウム(III)-TTAキレートに対する付加錯体生成熱を,さらにphenによる付加錯体生成熱を全ランタノイド(III)に対して滴定型熱量計を使って測定した。 3.1)一座配位子による付加錯体の安定度は軽希土から重希土へと減少する。一方,phenによる付加錯体の安定度は軽希土から中希土に向かって増大し,その後重希土まで安定度はほぼ等しい。2)TTAキレートの水和数はLaからHo近くまで3であり,YbとLuでは2,その間は2と3の間を示す。安息香酸が一分子付加した錯体はTTA-キレートの水和数より一分子少ない。これは付加錯体の生成に際し,一個の水和分子が一個の安息香酸分子と置き換わることを意味する。安息香酸が2分子付加した錯体ではどの元素でも無水に近い。3)phen錯体生成時のエンタルピー変化はLaからLuへ吸熱から発熱へ大きく変化する。 以上の結果から有機溶媒中での錯体の安定度の大きさはランタノイド(III)の配位数やイオンサイズと配位子との間の適正な角度にもよるが,この他に水和分子も大きく影響する。そしてこれらの組み合わせによってランタノイド系列の中でいろいろな変化の様子を示すことが結論された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Hasegawa: "Variation of stabilities of the lanthanoido (III) complexes with α-diphenylhydroxyacetic acid" J.Trace Microprobe. 57 (5) (in press). (1997)
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[Publications] Y.Hasegawa: "Polarity effect of organic solvents on the separation factors across the lanthanoid series" Bull.Chem.Soc.Jpn.70 (5) (in press). (1997)
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[Publications] Y.Hasegawa: "The relative stability of tris (2-thenoyltrifluoroacetonato) lanthanoid (III) adducts with carboxylic acids having naphthalene ring" Solvent Extr.Ion Exch.14 (1). 899-103 (1996)
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[Publications] E.Ishiwata: "Synergistic extraction of lanthanoids (III) with thenoyltrifluoroacetone and aromatic carboxylic acids and the hydration of the extracted species" Anal.Sci.Techn.8 (4). 499-503 (1996)